監修: 東京大学 大学院 遠藤利彦(発達心理学) 東京大学 汐見稔幸(教育学・教育人間学・育児学)
【ねらい】
ネガティブな気分や、むしゃくしゃした気持ちから意識をそらす「切りかえスイッチ」を探しておき、いざという時に使うことを学ぶ。
・気持ちが落ち込んだときには、自分の「切りかえスイッチ」を使ってみよう。
・「切りかえスイッチ」は悩みや問題の抜本的な解決にはならないかもしれない。
・自分にあった「切り替えスイッチ」をいくつか探してもっておこう。
東京大学大学院 遠藤利彦さんからのメッセージ
■イライラときには「切りかえスイッチ」
みー:ウォー、ウォー、ウォー、ウォー!!なんでだー!!!
番組の冒頭で、いっしょうけんめい並べたドミノをパパに倒されてしまい、みーがやり場のない怒りを爆発していましたね。みーぐらいの未就学児は、イライラしたりムシャクシャしたりしたときにどう対処したらよいのかわからず、落ち込んだ気持ちを長くひきずってしまうことがあります。沈んだ気持ちはストレスとなって脳や身体を疲れさせてしまうことがありますし、あまり長引くと心と身体の病気に至る場合もありますから、うまく気持ちを切りかえる方法を探しておくのはよいことです。
その方法を、番組では「切りかえスイッチ」と呼んで紹介しました。人は一度に2つのことに注意を向けられないものです。「切りかえスイッチ」で別のことに注意を向ければ、イライラの原因そのものが解消される訳ではありませんが、少なくとも気分の落ち込みを軽減できますよね。そういった方法を知っておくことは、とても大切だと思います。
■自分に合った「切りかえスイッチ」を探してもっておこう
ムッシー:イライラしてる時にさ、カブトムシの裏側を見ると、
なんかスッキリするんだよね。ほら、これみたいに。
みー:ヘッドライト?
ムッシー:そう。暗い気持ちが、スイッチ一つで、パッと明るくなるんだ。
“切りかえスイッチ”みたいな感じかな。
番組の中でムッシーは、カブトムシの裏側(胸と腹)を見るとイライラがすっきりすると言っていましたね。虫が大好きなムッシーらしい、とてもユニークなスイッチですね。では、どんなものが「切りかえスイッチ」になるのかというと・・・
・夢中になれたり、ワクワクしたり、楽しくなれること(運動、あそび、音楽鑑賞)
・視覚、聴覚、味覚、嗅覚を刺激するもの
・よい記憶を思い出すことができる行動
・・・など、ネガティブな気持ちから別のことに意識を向けることができるものなら何でもOKです。お子さんだけではなく、おとなにとっても、ふだんから自分の「切りかえスイッチ」を覚えておくことで毎日が過ごしやすくなると思いますよ。ぜひお子さんが自分で使えそうな「切りかえスイッチ」を一緒に探してみてください。
■「切りかえスイッチ」は万能ではない
おねえさん:どうっすか?
みー:かなりいい感じです!なんかねばねば〜してると、
イライラとかどうでも良くなっちゃいますね。
おねえさん:お、きたー!じゃあ、お客さんのきりかえスイッチはそれっすね!
でも、うまく効かないときもあるんで、
違うスイッチを探して、いくつか持ってると完璧っすねー。
「きりかえスイッチやさん」のおねえさんも言っていたように、「切りかえスイッチ」は効かないときもあり、万能ではありません。また、ムッシーだって、いつも必ずカブトムシを捕まえられないかもしれません。ですから、複数の「切りかえスイッチ」をもっているのがおすすめです。そして、お子さんが実際にイライラしたときにうまくスイッチで気分を切りかえることができたら、しっかりとほめてあげましょう。また、お子さんが、イライラの原因となったことに、もう一度、前向きに取り組めるよう、励ましてあげたいものです。