「しんじゃったら、もうあえないの?」

NHK
2023年3月16日 午後5:18 公開

監修: 東京大学 大学院 遠藤利彦(発達心理学) 東京大学 汐見稔幸(教育学・教育人間学・育児学)

【ねらい】
大切なものとのお別れはとても悲しいけれど、心の中でいつでも会えることを知ろう。 
悲しいときは悲しんでいい。 お別れしても、心の中でいつでも会えることを知ろう。  

東京大学大学院 遠藤利彦さんからのメッセージ

みー:ゲージ?寝てるの?    ん?ゲージ?え?嘘でしょ?    ゲージ!?ゲージ!? パパ:みー、どうした!? みー:ゲージ?ゲージ~~~~!!!

突然、みーが大切に飼っていたゲジゲジのゲージが死んでしまいました。ゲジゲジをペットにしたり仲良く遊んだりすることは、現実では稀かもしれませんが、みーにとってゲージは大切なともだちだったことから、みーは大きな悲しみに直面していましたね。このように、かわいがっていたペットが死んだことでこどもが悲しみに暮れているとき、おとなはどうすればいいのでしょうか。

■悲しみに寄り添って

みー:…なんで?ねえ、なんでゲージは死んじゃったの? パパ:それはパパにもわからない。    でもおともだちが死んじゃうのはとっても悲しいよね。わかるよ。

番組の中で、パパはみーのことばに耳を傾けて、悲しい気持ちに理解を示していましたね。こんなとき、こどもがいつまでも悲しそうにしていると、良かれと思って「もう忘れなさい」「いつまで落ち込んでるの?」と言いたくなることがあるかもしれません。しかし、悲しいときに悲しむ時間を持つことは大切です。無理に気持ちにフタをしては、返って気持ちの切り替えに時間がかかることもあります。悲しみに寄り添ってあげてください。そして、話をすることで悲しい気持ちが和らいでいくこともありますから、お子さんが何かを話したそうにしているときには、「話を聞かせて」と言っていっぱい語らせてあげてくださいね。

■命には限りがある

みー:みーがさ、お世話をさぼったからかな?    もっと一緒に遊んであげればよかったのかな? パパ:みーは一生懸命お世話してたし、ゲージともいっぱい遊んでいた。    だからみーのせいじゃないよ。 みー:だったらなんで?なんでゲージは… パパ:生き物には寿命っていってね、どれくらい生きるか決まってるんだよ。    ゲージは人間よりずっと短い間しか生きられないんだ。    だからゲージは寿命がきたんだ。みーが悪かったんじゃない。

みーぐらいの年齢の子は身近な「死」の経験がほとんどなく、言葉は知っていても、その意味をあいまいにしか理解していないことが多いものです。「動かなくなったけど、明日になったらまた動くの?」と思ってしまう子もいるかもしれません。生き物の死を通して、命には限りがあること、死んだら二度と生き返らないことを伝えてあげてほしいです。死のつらさを経験することになりますが、同時に命の大切さを学んでくれることでしょう。

■心の中で会えると伝えよう

みー:パパはさ、いつ悲しくなくなったの? パパ:悲しみは、全部は消えないよ みー:え、消えないの? パパ:そう、スターが死んだ悲しみはずっと残る みー:つらくないの? パパ:それがつらくないんだな みー:なんで? パパ:スターとはいつでも会えるからさ    こうしてね、目をつむるんだ。    そうすると、いつでもスターに会えるんだよ

番組では、パパがこどもの頃に飼っていたハムスターのスターのエピソードをみーに話していましたね。スターが死んだ悲しみは消えないけれど、心の中でいつでも一緒に遊べるんだよと伝えていました。時間はかかるかもしれませんが、みーも少しずつゲージと遊んで楽しかったころを思い出せるようになってほしいです。今回は大切なペットとの別れの話でしたが、引っ越しで大切なともだちと離れてしまうといった悲しい別れも起こりうるものです。そうした場合も、同じように身近なおとなが寄り添ってあげてほしいと思います。