■神経の圧迫でおきる首の痛み

首の痛みの原因のひとつが、神経の圧迫です。首の骨がとげのように変形し、脊髄から枝分かれした神経の根元を圧迫するのが「頚椎症性神経根症」、骨と骨の間にある椎間板の中にある髄核が外に飛び出し、脊髄を圧迫するのが「頚椎椎間板ヘルニア」です。
頸椎性神経根症の主な症状は、首の痛みや手・腕のしびれですが、骨のとげが脊髄を圧迫する頚椎症性脊髄症や頚椎椎間板ヘルニアを発症すると、足にもしびれや痛みを感じたり、歩行障害や排尿障害になることもあります。
■神経の圧迫が原因の首の痛みの治療

軽症の場合には、首を動かさないようにしたり温めたりする理学療法か、痛みを取り除く消炎鎮痛薬などの薬を使います。
それでも十分な効果が得られない場合には、炎症を抑えて痛みを取り除く「ブロック注射」や、首の動きを制限し頭の重さを分散することで首への負担を減らす「頚椎カラー」を用います。
これらの治療を3〜6か月続けても十分な効果が得られない場合や、神経の麻痺が悪化する場合には、手術を検討します。
■筋膜が原因の痛みとは?

筋肉や筋膜が原因の首の痛みには、姿勢の悪さが関係しています。
姿勢が悪くなればなるほど首への負担が増し、筋肉が過剰に緊張して痛みやコリを感じたり、長時間同じ姿勢をとり続けることで筋肉を覆っている「筋膜」が筋肉とくっついてしまいます。この状態で筋肉を使うと、筋膜や脂肪層にある神経も一緒に引っ張られるために痛みを感じると考えられています。
緊張した筋肉はストレッチでほぐし、動きの悪くなった筋膜はつまんで揺らすと、痛みの解消に効果的です。
筋肉・筋膜が原因の首の痛みを解消する運動療法を動画で解説!
■首下がり症候群

突然、頭が重く感じられ、顔が上げられなくなる「首下がり症候群」。
70歳以上の女性に多く、はっきりとした原因は不明ですが、加齢による筋力低下が原因のひとつと考えられています。うつ病やパーキンソン病などが原因でなる場合もあり、その病気の治療も並行しながら首下がり症候群の治療を行います。
治療としては、うまく使えていない首の筋肉を鍛えたり、硬くなった背中をほぐしたりする理学療法が行われます。それでも十分な効果が得られない場合は、手術となります。
「首の痛み」についてさらに詳しく!NHK健康チャンネル