■食物アレルギーとは
食物アレルギーは、特定の物を食べたとき、含まれるたんぱく質が体の中に入り、免疫細胞がそれを異物と捉えることで起きます。こうしたアレルギーの原因となる物質を「アレルゲン」といいます。免疫細胞は再びそのアレルゲンが来たときに備えて「IgE抗体」と呼ばれる物質をつくり、マスト細胞の表面に付着させます。そして同じアレルゲンが再び体内に入るとIgE抗体と結びつき、マスト細胞が敵とみなしてヒスタミンなどを分泌します。このヒスタミンが皮膚や粘膜などを刺激して、かゆみやじんましんなどのアレルギー症状が起きるのです。
■食物アレルギーの症状
食物アレルギーの症状は、かゆみ・じんましんから、くしゃみ・鼻水・呼吸困難などの呼吸器症状、口の中の違和感や粘膜の腫れ、おう吐や下痢まで多岐にわたります。こうした症状は食後2時間以内に起きて、30分〜半日程度でおさまるのが一般的です。
さらに重症のケースでは、これらの症状に加えて血圧低下や意識障害も起きて「アナフィラキシーショック」に陥る場合があります。
■何が原因?食物アレルギーの検査
血液検査では、血液中にIgE抗体がどのくらいあるか、どんな食物に反応するかを調べます。小麦やハウスダストなど代表的なアレルゲン数十種類と、IgE抗体をそれぞれ結合させ、反応をみます。アレルゲンの推測に使われます。
プリックテストは、原因が疑われる食物のエキスを皮膚に少量たらして針穴程度の傷をつけて反応を見るテストです。15分後、皮膚が赤くなったり膨らんだりすれば、その食物のアレルギーと診断されます。
■アドレナリン自己注射薬
アドレナリン自己注射薬は、過去にアナフィラキシーを起こした人や、その可能性がある人に処方される注射薬で、アナフィラキシーの状態から一時的に回復させるものです。アドレナリンは人の副腎や神経で作られるホルモンで、心臓の働きを強めたり末梢の血管を縮めたりすることで血圧を上昇させる作用や、気管支を拡張する作用、粘膜のむくみを改善する効果があります。効果は10~15分です。発症したらすぐに打ち、打ったらすぐに救急受診してください。
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