■歯周病とは?

歯周病の原因は、歯周病菌のかたまり「プラーク(歯垢)」です。プラークは2週間ほどたつと、石のように固い「歯石」に変化します。
歯周病菌は歯石の中で増殖して毒素を出し、この毒素が歯ぐきに炎症を起こします。炎症が進行すると、歯と歯ぐきの隙間が深くなっていき、そこに「歯周ポケット」という溝ができます。歯周ポケットの奥までは歯ブラシの毛先が届かず、プラークを除去できないため、歯周ポケットはさらに深くなっていきます。
歯周ポケットに潜んでいる歯周病菌は増殖しながら毒素を出し続け、炎症を引き起こすだけでなく、歯を支えているあごの骨「歯槽骨」を溶かしはじめます。こうなると、歯茎が下がって歯がグラグラするようになり、最終的には歯が抜けてしまいます。
■歯周病の治療

①歯周病の治療は、まずはプラークコントロールです。自分で行う歯磨きと、歯科でのクリーニングによって、プラークを除去します。
歯を磨くときは、毛先を歯と歯ぐきの境目に入れて細かく振動させ、プラークを1本ずつ除去します。
②それでも歯石ができてしまった場合は、歯科のスケーリングで歯の表面の歯石を除去します。
③さらに、歯石が歯周ポケットの奥まで達してしまった場合は、歯肉を開いて歯石を除去する「フラップ手術」を行います。
■歯周組織再生療法とは?

歯周病によって減ってしまった、歯を支えるあごの骨を再生させ、歯を守る治療法です。
まずは歯肉を切開して、歯周ポケットの深いところにたまった歯石などを取り除き、歯周病の元を断ちます。その後注射器を使って、歯周ポケットに薬を注入します。薬はタンパク質を主成分とした特殊なもので、空洞に栄養が送りこむことで細胞の増殖を促します。
6〜9か月ほどたつと再生した骨がX線画像で確認できるようになり、1〜2年くらいかけて再生していきます。
■歯周病と糖尿病の悪循環

歯周病になると、歯周病菌が増殖して、血液中に炎症を引き起こす「サイトカイン」が流れ込んできます。このサイトカインの影響で、インスリンが効きづらくなります。すると血糖値が高くなり、糖尿病が悪化します。その結果、免疫力が低下し歯周病菌が更に増殖、炎症しやすい環境となるために、歯周病がさらに悪化します。
この悪循環により、歯周病と糖尿病の両方が悪化してしまうのです。