■小児がんとは

小児がんは、15歳未満の子どもがかかるがんの総称です。
年間2000~2500人が、小児がんと診断されています。大人のがんと比べると人数は少ないものの、小児の病死原因の1位となっています。
大人の場合は、飲酒や喫煙、食事など生活習慣が原因のがんが多く見られますが、子どものがんはそうした原因のものはほとんどなく、神経や臓器になるはずの若い細胞が、体が作られる段階で異常な細胞に変化し増加することで「がん」になります。
■神経芽腫とは


小児がんの中で、4番目に多いのが「神経芽腫」というがんです。未熟な神経組織、つまり成熟したら神経になるはずの若い組織が、がん化することでおきます。交感神経のもとになる細胞が存在している交換神経節(背骨の両脇にある)や副腎(腎臓の上にある臓器)に発症します。
発症年齢やがんの進行度などによって、低リスク群、中間リスク群、高リスク群に分けられ、それぞれのリスクに合った治療が行われます。
■抗GD2抗体とは
世界で初めて神経芽腫に特化して開発された薬が、「抗GD2抗体(こうジーディーツーこうたい)・ジヌツキシマブ)」です。2021年6月、日本では神経芽腫の薬としては数十年ぶりに薬事承認されました。
ただし、神経芽腫の患者なら誰にでも使えるというわけではなく、「高リスク群」に分類された患者が、抗がん剤・自家造血幹細胞移植・手術・放射線治療といった治療を終えた後に、再発予防のためにこの薬を使うことになっています。
■陽子線治療とは
放射線治療の一種で、陽子線をがんや、手術でがんをとった場所にあてる治療です。X線に比べるとピンポイントであてることができるので、がん周囲の正常な組織への影響が少なく、副作用を少なくできます。
国内では19か所の施設で陽子線治療を受けられます(2022年4月現在)。子どもの場合治療後の人生が長いので、副作用の点を考えると、陽子線治療は特に向いていると言えます。
治療費は高額ですが、小児がんでは保険適用となっており、さらに「小児慢性特定疾病医療費助成制度」や自治体ごとの医療費助成制度も使えます。