■潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜の病気です。本来、大腸の粘膜は、外敵の侵入を防ぐ、いわば防波堤の役割をしています。ところが、何らかの原因で免疫が過剰に働いて炎症が起こると、組織が傷つき防波堤が崩れてしまいます。すると、さまざまな物質が免疫を刺激し、炎症が続くようになります。炎症が続くと、ただれや潰瘍ができます。これが潰瘍性大腸炎です。
■潰瘍性大腸炎の症状

小腸で消化され大腸に運ばれてきた食べ物は、大腸内を進むにつれて粘膜から徐々に水分が吸収され、最終的に硬い便になりますが、潰瘍性大腸炎になると、炎症を起こした粘膜は水分を吸収しづらくなります。そのため、腸内の水分が増えすぎて下痢になってしまうのです。
また、腸の粘膜に炎症が起こると、ベタベタした白い粘液が分泌されます。その粘液が便と混じったものが「粘液便」です。粘液だけが排泄されることもあります。
さらに、炎症によってただれや潰瘍ができると、腸が傷ついて出血するため、血便も起こります。
■潰瘍性大腸炎の経過

一般的に、潰瘍性大腸炎は、炎症がひどくなったり落ち着いたりを繰り返していく病気です。症状が強く出る時期を「活動期」、症状が治まって落ち着いている時期を「寛解期」と呼びます。また、いったん寛解期に入って、その後症状がぶり返すことを「再燃」といいます。
再燃の原因を食事やストレスと考える人は多いですが、様々な研究結果から、実はあまり関係していないということがわかっています。
■潰瘍性大腸炎の薬

潰瘍性大腸炎の基本の薬は、「5-アミノサリチル酸製剤」の、のみ薬です。大腸の炎症を抑える効果があります。活動期の症状改善と寛解維持を目的に使われます。
症状が悪くなったときは、お尻から注入するタイプの「ステロイド(注腸剤)」も使用します。直腸付近をピンポイントで治療できます。注腸剤を使用するときのポイントは、症状が悪くなる前に使うこと。悪くなってしまってからでは、便の回数が増え、注入してもすぐに出てきてしまうからです。
こうした薬が十分に効かない場合は、のみ薬のステロイド剤や免疫調節薬を使います。それでも治療が難しい人に向けて、注射タイプの生物学的製剤など、新しい薬が次々と登場しています。
▼潰瘍性大腸炎についてさらに詳しい情報は「NHK健康チャンネル」
https://www.nhk.or.jp/kenko/disease-287/index.html