■慢性痛とは

痛みは大きく分けて急性痛と慢性痛の2種類があります。
急性痛はケガや病気が原因で急に痛くなって短期間で治まるのに対して、慢性痛は急性痛の治療後も3か月以上治らない痛みや、そもそも原因が分からず3か月以上続く痛みのことを指します。
■慢性痛は痛みの悪循環で悪化する

慢性痛は痛みそのものの原因に加え、様々な要因で痛みが増強します。
痛みに対する不安や恐怖がストレスとなって眠れなくなったり、外出するのが億劫になってひきこもってしまいがちです。すると、運動不足を招き体力が低下します。そうした状態になると、体を動かした際に衰えた筋肉に過剰な負担がかかったり、関節が硬くなるなどして痛みが悪化してしまいます。この悪循環が慢性痛を治りにくくさせる要因の一つです。
■治療①痛みの悪循環の解消

“痛みの悪循環”を解消するにはどうしたらいいのでしょうか? まず肥満など明らかに痛みを増強している原因があれば改善します。それから、日常生活を見直すことも重要です。仕事が忙しいなど痛みとは直接関係ないような事柄も含めて、ストレスにつながることをできるだけ避けます。すると、活動的になってより体を動かす機会が増え、筋肉の状態が改善されます。こうして痛みが改善されるのです。
■治療②心理療法

慢性痛に悩む人の中には「痛いことはダメなこと。体を動かすと痛いからじっとしていなければならない」という思い込みを持つ人が少なくありません。安静にすることは急性痛の場合では大切なことですが、慢性痛では“痛みの悪循環”でも分かるように、かえって痛みを悪化させてしまう要因となります。しかし、一度痛みへの恐怖にとらわれてしまうと自分一人ではなかなか抜け出せません。こうした考え方を変えていくのが心理療法です。心理療法ではカウンセリングを通して“痛みとの付き合い方”を学びます。「痛いからできない」と諦めるのではなく「痛いけどできた」というふうに、痛みへの恐怖をのりこえ、達成感を感じることを重視するのです。自分の趣味や好きなことから少しずつ始めるとよいでしょう。こうして活動的になることで痛みの改善につながります。