「肝がん」とは
肝臓にできるがんは、大きく3種類に分けられます。
肝臓の大部分を占める肝細胞ががんになる「肝細胞がん」。肝臓で作られた胆汁を胆のうに運ぶ胆管という管にがんができる「胆管細胞がん」。また、肺がんなど、他の臓器でできたがんが転移してできる「転移性肝がん」です。
一般的に「肝がん」という場合は、「肝細胞がん」のことを指します。
肝がんの治療のチョイス
肝がんの主な治療には、「手術」「ラジオ波焼灼療法」「肝動脈塞栓療法」「薬物療法」「放射線療法」があります。
どの治療を選択するかは、5つの要件によって決められます。
①「肝臓の予備能(肝臓の一部が障害されても、別の部分で補える能力のこと)」
②「肝臓以外への転移の有無」
③「血管や胆管へ広がりがあるかどうか」
④「がんの数」
⑤「がんの大きさ」
中でも、肝臓の予備能は治療方針を決める上で大きなポイントです。
ラジオ波焼灼療法
「ラジオ波焼灼療法」は、現在、肝がんの治療として最も広く行われている治療です。
まず、超音波診断装置でがんの位置を正確に捉えます。そして、体の外から特殊な針を刺し、針に電流を流して先端部分に高熱を発生させることで、がんを焼いて固める治療です。局所麻酔で行え、焼灼時間もがんの大きさ2cm以下なら6~7分と短いので、患者への負担が比較的少ない治療です。一方で、手術に比べると再発率が高いというデメリットもあります。
予備能がよく、転移もなく、血管・胆管への広がりもなく、がんの数3個以内、がんの大きさ3cm以内であれば、ほとんどの場合、ラジオ波焼灼療法が行われます。
肝動脈塞栓療法
冠動脈塞栓療法は、いわば「がんを兵糧攻めにして壊死させる治療」です。
肝臓に酸素や栄養を運んでくる血管が「肝動脈」です。がんも、この肝動脈から酸素や栄養を取り込んで成長します。足の付け根などからカテーテルをがんの直前まで進め、抗がん剤を注入してがんを弱らせた後、動脈を塞ぐ物質で血流を止めます。するとがんに酸素や栄養がいかなくなるので、がんは壊死してしまうのです。
肝動脈塞栓療法は、予備能がよく、転移もなく、血管・胆管への広がりもなく、がんの数が4個以上の場合に行われます。
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