乾癬とは

乾癬は、皮膚に赤く盛り上がった発疹や銀白色のかさぶたのようなものができ、皮膚が剥がれてしまう病気です。約半数の患者がかゆみを感じます。乾癬はうつる病気ではありません。遺伝的な要因にストレス・肥満などの要因が加わり、免疫のバランスが崩れることによって起きます。
乾癬のメカニズム

乾癬では、何らかの原因で免疫細胞が異常に活性化し、「炎症性サイトカイン」という物質を大量に出して、表皮に新しい皮膚を作るように指令を送ります。すると、通常の約10倍ものスピードで表皮が作り出されます。そのため、表皮が分厚くなり、皮膚の表面が白くかさぶたのようになって剥がれ落ちます。大量に出された炎症性サイトカインは、皮膚の赤みやかゆみも引き起こします。
乾癬の治療

乾癬には4つの治療法があり、組み合わせて行うこともあります。
①ぬり薬(活性型ビタミンD3製剤・ステロイド)
多くの人は、治療はぬり薬から始めます。活性型ビタミンD3製剤は、過剰になった皮膚の新陳代謝のスピードを抑える働きがあります。ステロイドは、活発になった免疫細胞を抑制し、炎症を抑えます。
② 光線療法
紫外線を乾癬の症状が出ている部分に直接当てて治療する方法です。紫外線には、異常な免疫細胞を抑える作用があり、中でもUVBには、皮膚の増殖を抑える作用もあります。
③のみ薬(PDE4阻害薬・免疫抑制剤)
PDE4阻害薬には、異常になった免疫細胞を落ち着かせ、乾癬の症状を引き起こす炎症性サイトカインが出るのを抑える働きがあります。免疫抑制剤のシクロスポリンは、異常な免疫細胞の働きを強く抑える効果がある薬です。長期間使用すると、腎機能の低下や高血圧が起きることがあるため、症状が悪化したときに短期間使います。乾癬には、手足の指の関節やアキレス腱などに痛みやこわばりが出る「乾癬性関節炎」があります。 この乾癬性関節炎の場合にはメトトレキサートという抗リウマチ薬もよく使われます。
生物学的製剤

生物学的製剤は、免疫細胞から過剰に放出されている炎症性サイトカインにピンポイントで結合し、働きをブロックして、皮膚の炎症を抑えます。どの炎症性サイトカインをどのように抑えるかによって、現在10種類ほどありますが、いずれも注射(点滴・皮下注射)の形で使われ、中には自己注射できるものもあります。