■前立腺肥大症とは

前立腺は、ぼうこうの下、尿道を取り囲むようにある男性特有の生殖器です。正常な場合、尿がぼうこうにたまりいっぱいになると、ぼうこうから脳に信号が送られます。すると脳が尿意を感じ、排尿の指令を出します。その結果、ぼうこうの筋肉が収縮して尿道の筋肉が緩み、尿が排泄されます。
ところが、前立腺が肥大すると、尿道やぼうこうが圧迫され、尿が溜まっていなくても脳は尿が溜まったと勘違いし、排尿しようとします。その結果「頻尿」が起こります。
■頻尿の治療薬

前立腺肥大症と診断されたら、まず左側の前立腺肥大症の薬「α1遮断薬」か「PDE5阻害薬」で治療を始めます。前立腺の肥大が通常の2〜3倍以上の人は、「5α還元酵素阻害薬」を併用、もしくは切り替えます。
前立腺肥大症で過活動ぼうこうを伴う場合には、前立腺肥大症の薬を使いながら、右側の過活動ぼうこうの薬「β3作動薬」か「抗コリン薬」のいずれかを使うのが一般的です。
■夜間頻尿にはタイプがある

夜中に尿意で目が覚めてしまう夜間頻尿には、3種類のタイプがあります。
「夜間多尿」は、寝ている間の尿量が増えるタイプ。「蓄尿障害」は、前立腺肥大症や過活動ぼうこうによって、ぼうこうに尿がためられなくなっていて夜間だけでなく昼間も頻尿があるタイプです。「睡眠障害」は、眠りが浅いために軽い尿意でも目が覚めてしまうタイプです。
■夜間多尿 原因は?

加齢のせいで「心臓のポンプ機能」が衰えると、不要な水分を下から上に押し上げる力が足りなくなり下半身に溜まります。すると、眠っている間にこの水分を尿として排出しようとするため、夜間に尿が大量に作られる「夜間多尿」になってしまいます。
高血圧や糖尿病も夜間頻尿の原因になります。そして治療に使われる薬の一部も原因になることがあります。
水分のとり方を見直すことも必要です。1日の水分量としては体重(kg)×20〜25以下mLを参考にしてください。70kgの人なら1400〜1750mL以下が、1日に食事以外でとる水分量の目安です。
夜間の尿の生成を抑えるのが「抗利尿ホルモン」です。加齢によって分泌が減ると、寝ている間に尿が作られてしまい、夜間頻尿につながります。
「前立腺肥大症」についてさらに詳しく!NHK健康チャンネル▶