ウクライナ 子どもたちの心に寄り添う明かりを【Monday Biz】

NHK
2023年3月8日 午後7:06 公開

Monday Biz
毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです


(「国際報道2023」で3月6日に放送した内容です) 

【パキスタン】外貨不足で国債格下げ

急激な外貨不足に陥っているパキスタン。
先月、大手格付け会社から国債の信用度を示す格付けを引き下げられ、「デフォルト=債務不履行のリスクが高まっている」と指摘されています。

パキスタンでは、去年の大規模な洪水に加え、エネルギー価格の上昇で貿易収支が悪化、外貨の流出が加速しています。

中央銀行が保有する外貨準備の残高は、ことし1月末の時点で、およそ31億ドルと、1年前と比べて5分の1以下に減少しました。

なんとか外貨の流出を抑えようと、政府は、商店などに営業時間の短縮を要請し、エネルギーの輸入を減らそうとしていますが、大幅な状況の改善には至っていません。

 

【イギリス】スコットランドで酒の広告制限?

「スコッチ」で知られるウイスキーの本場スコットランドで、
酒の広告を厳しく制限する動きがあり、地元を二分する議論となっています。

スコットランドにはウイスキーの蒸留所が、およそ140か所、大小のクラフトビールの醸造所も各地に点在しています。そのスコットランドで、公共施設などから広告を一掃しようという厳しい規制案が浮上し、地元のアルコール業界のみならず、観光業界からも、猛烈な反発がでています。

ヨーロッパでは近年、「経済の利益より、国民の健康を」という声が多く、こうした規制が、ワインの国フランスやバルト3国などでも相次いで導入されています。地元政府は、広く意見を募るパブリックコメントの期限を今週3月9日に設定。ウィスキーの本場の議論の行方が注目されています。

 

  【アメリカ】 ウクライナ 子どもたちの心に寄り添う明かりを

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化するなか、求められているのが、精神的な支援です。とりわけ懸念されている子どもたちの心の傷。それを癒やそうと奔走するニューヨークの経営者がいます。

ランタンを製造・販売する会社の経営者、アリス・チョンさんです。
去年(2022年)、キーウを訪れたチョンさんは、現地の状況を知り、「民間企業も積極的に支援を行うべき」と考えています。
 
チョンさんは、停電したキーウの病院にカラフルなランタンを贈りました。
贈ったランタンは太陽光で充電できるため、何度も使うことができるのが特徴です。  

日本の折り紙に発想を得たというこのデザインは、簡単に小さく折りたたむことができ、軽いため、子どもでも持ち運びができます。

6色に色が変わるライト、青は気分の落ち込みを抑える効果、黄色は不安感を和らげる効果があるとされています。色の効果で、停電の際の明かりとしてだけでなく、PTSD(=心的外傷後ストレス障害)の緩和にも役立つといいます。

アリス・チョンCEO
「子どもたちは、爆撃を受け家族を失ったり、けがをしたりしてトラウマに陥っています。看護師たちが眠れない子どもたちを落ち着かせるには何時間もかかります」  

  来月(4月)、再びキーウを訪れるというチョンさん。
チョンさんは、軍事侵攻から1年がたった今、ウクライナの人々は物資や食料などの支援から、より精神的な支援を求めていると感じています。
 
アリス・チョンCEO
「ウクライナの人々が精神的に立ち直れるように、こういった支援は非常に重要です」

 
(この動画は5分49秒あります)