ラオス↔中国 鉄道の直通運転始まる【MondayBiz】

NHK
2023年4月26日 午後6:46 公開

最新の世界経済の動きをお伝えする「マンデービズ」。

毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです 

(「国際報道2023」で4月24日に放送した内容です)

【アルゼンチン】インフレ年率100%超

市民の生活は厳しさが増しています。市場では、野菜や肉などの食料品が値上がりしています。

アルゼンチンの統計局が14日に発表した先月の消費者物価指数は、去年の同じ月に比べて104.3%上昇1年で物価が2倍以上になりました。アルゼンチンは税収の不足を、国債の追加発行で補うなどした結果、慢性的なインフレに陥ってきました。

推計では、アルゼンチンでは4割近くの人が貧困レベルの生活を強いられているとされるなど厳しい状況が続きそうです。

【EU】「半導体法案」激化する生産拡大競争

半導体の生産拡大に、ヨーロッパも乗り出しています。今月、EU加盟国とヨーロッパ議会が合意した『半導体法案』

域内での半導体の生産量を2030年にいまの倍の世界シェア20%に増やすのが目標で、 半導体の工場の誘致などに官民あわせて、日本円で6兆3000億円余りの補助金などを投じます。

アメリカや台湾など世界の有力メーカーが工場の建設などの計画を打ち出すなか…

地元メディアによると、ドイツ政府は 補助金を増額する見返りとして工場の投資規模の拡大を求めているとされ、各国とメーカーの駆け引きが活発化しています。

原則として特定の企業や製品に補助金を認めていないEUが いまなぜ大転換とも言える動きを見せているのか?専門家に聞きました。

東京大学大学院 黒田忠広教授:背景には米中の対立の激化、地政学的なリスクの高まりがある。半導体をめぐる世界情勢はますます不透明になっている。供給網の確保というのがいま世界が残念ながらいろいろと分断が始まっているなかで、その(世界の)潮流の変化に対応せざるをえない。

黒田教授:これからは単純な競争から連携の時代に変わる。もともと日本は世界からどういう所が強いと見られているかというと素材と製造装置、そして人材。これをより高度にして国際社会に貢献することを目指すというのがいま日本の取るべき戦略。

【中国】大型連休で海外旅行熱が沸騰?

中国も5月1日のメーデーに合わせて 4月29日から5連休。「ゼロコロナ」政策の終了で観光需要が活発になっています。大手オンライン旅行会社によると、航空券など海外旅行の予約は去年(2022年)と比べて18倍以上だということです。

人気の旅行先の上位には、ともに感染対策による制限がないタイ、香港が。そして3位には、日本。中国側の制限が残り、団体旅行がまだ解禁されていませんが人気です。各国で期待される中国人観光客の動きに注目です。

【ラオス・中国】鉄道の直通運転始まる

こちらは中国の「一帯一路」の主要事業の1つ。中国南西部の昆明とラオスの首都ビエンチャンの間のおよそ1000キロの区間で直通運転が始まりました。

出入国の手続きを含めて10時間ほどで結ばれます。直通運転が始まった4月13日、昆明駅では、乗車する人々の長い列ができました。

こちらはことし(2023年)2月、NHKに車内での取材が初めて許可されたときの様子です。

影記者:多少揺れますが、予想よりは静かに走っています。いまラオスの山間部を抜けて、 北側、中国に向かって列車が進んでいます。

沿線では緑あふれる田園風景はもちろん、川にかかる巨大な橋からの絶景や壁に両国の国旗が描かれた友好のトンネルも見えます。

ただラオス側の鉄道の総事業費59億ドルのうち、大部分を中国側からの借り入れでまかなっています。ラオスは中国への多額の債務を返済できなくなり、権益の譲渡などを迫られるいわゆる「債務のわな」に陥るおそれも指摘されています。