【解説】ロシア軍事侵攻でアメリカ軍がSNSでプロパガンダ疑惑(油井'sVIEW)

NHK
2022年11月28日 午後3:05 公開

ロシアの軍事侵攻から9か月。

激化する情報戦でアメリカ軍に「SNS上に偽のアカウントを作成してアメリカに利益となる情報やプロパガンダを流していた」という疑惑が浮上しています。

これはメタが明らかにしたもので、アメリカ軍の関係者たちが中央アジアや中東、北アフリカなどで暮らす住民たちを装ってアカウントを作成。

その上でウクライナに軍事侵攻したロシアに対する批判や、ロシア、中国、イランを非難する内容を相次いで投稿していたということです。

メタはフェイスブックで39、インスタグラムで26のアカウントを削除したとしています。

この手法はロシアが行う宣伝戦としてこれまで知られてきましたが、アメリカ側の動きが明らかになるのは異例です。

きっかけは8月に発表されたスタンフォード大学の研究グループの報告書に

メタの報告書には詳細な手法までは盛り込まれていませんが、8月に発表されたスタンフォード大学の報告書では具体的に書き込まれています。

その1つがフェイスブックに開設されていたもので、ロシア語で情報を発信していたロシア語メディアを装った偽のインターネットメディアのページです。

さらに中央アジアに住む女性(上の写真左側)を装って使われていた、偽のアカウントの顔写真です。

調査の結果、この写真は右側の実在するアメリカの俳優の顔写真をもとにAIで作られたものだと判明したとしているのです。

メタは報告書の中で「この宣伝戦の背後にいた人たちは自分たちの正体を隠そうと試みたが、私たちの調査でアメリカ軍の関係者であることがわかった」と記しており、疑惑についてアメリカ国防総省は、調査に乗り出しているとしています。

今後の焦点は組織的な作戦だったかどうかですが、今回明らかになった偽のアカウントはフォロワー数などが限定的だったことから作戦の効果は低かったという専門家の見方が報じられています。

さらにアメリカ政府の信頼をも傷つけたと指摘されていて、宣伝戦としては逆効果になった可能性が高そうです。


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分51秒あります)

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