アメリカ政府は「イランがロシア軍に数百の無人機を供与する可能性がある」と主張する根拠の1つとして、イラン国内の飛行場を捉えた衛星画像を公開しました。
この飛行場に、ロシアの視察団が先月と今月の2回訪れたということで、写っているバスのようなものがロシアの視察団が乗った車だと説明しています。
アメリカ政府によりますと、ここでロシアの視察団は2種類のイランの無人機を視察、アメリカはロシアがこの無人機を戦場に投入する恐れがあるとみて懸念を強めているのです。
現にアメリカ国務省の報道官は18日の記者会見でも「イランの無人機の技術がロシアに供与される可能性を懸念し今後も注視していく。我々の制裁は今もすべて有効だが、もし供与が行われれば多くの制裁を伴うだろう」とイランをけん制しています。
イギリス国防省は2か月前に「ロシア・ウクライナ双方ともに、無人機は撃墜と電子妨害に脆弱で損失率が高い。ロシアは制裁による国内製造能力の制限によって偵察用の無人機が不足する可能性がある」と無人機の不足の可能性を指摘していたのです。
ウクライナのヒョードロフ副首相もツイートで、「クラウドファンディングで集めた資金で、中国製の無人機60機がまもなく手に入る」としているほか「アメリカ、ドイツ、ポルトガル、イスラエル、そして日本のメーカーとも現在交渉中だ」と主張しています。
まもなく5か月となる軍事侵攻。
生身の兵士の犠牲者が絶えない中で無人機の需要はさらに増す見通しですが、戦争泥沼化の懸念もいっそう深まりそうです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分54秒あります)