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毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。 マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです
【フィリピン】通貨安とエネルギー高騰で市民生活が苦境に
フィリピンの「ジプニー」と呼ばれる派手な乗り合いバスは市民の足として親しまれているのですが、通貨安の影響を受けています。
フィリピンの通貨ペソは9月はじめに過去最安値を更新し、その後も売りが続き1ドル=58ペソ台とさらに最安値を更新。
エネルギー価格の高騰も加わり、フィリピンが輸入に依存しているガソリン価格は3割、ディーゼル燃料の価格は7割、それぞれ去年と比べて値上がりしたのです(8月時点)。
ジプニーの初乗り運賃は、ことしのはじめは約22円(9ペソ)でしたが、段階的に値上げされ10月には約29円(12ペソ)まで上がる見込みです。
中央銀行は利上げを続けていますが通貨安に歯止めはかかっておらず、市民生活への影響が懸念されます。
【アメリカ】記録的インフレで物価の安い場所へ移住?
アメリカから物価の安い美しい海岸線に輝くビーチがあるメキシコ西部の街、プエルト・バジャルタに移住する人が出始めています。
去年シカゴから引っ越してきたクナさんの家は、アメリカで借りていた家の4倍の広さでなんとプール付きですが、それでも家賃はアメリカにいたときとほぼ同額です。
夫のクリスさんは「アメリカでは住宅価格が高騰していて、自分たちの希望する価格帯の家を見つけられません」と語ります。
生活品の物価もはるかに安く近所の高級スーパーで食料品を買い込んでもアメリカの半分ほどの支払いで済むそうです。
地元の不動産会社にはアメリカからの移住の問い合わせがこの1年で2倍に増え、今後もこの傾向が続くと見ています。
インフレが続くアメリカを見てみると8月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べて食品は11.4%、ガソリンは25.6%も上がっています。
こうした中FRB=連邦準備制度理事会は、政策金利を6月から3回連続で、0.75%引き上げることを決めました。
異例の利上げにも関わらずインフレが収束する見通しは立っていません。
【ヨーロッパ】ユーロ圏のインフレ進むか
ドイツやフランスなどユーロ圏19か国の9月の消費者物価指数が30日に発表されます。
8月は前の年の同じ月に比べ9.1%の上昇と統計を遡ることができる1997年以来、過去最大を更新しました。
これに先だってドイツの中央銀行のドイツ連邦銀行は19日に発表した月報で、国内では「景気後退の兆候が強まっている」との見方を示し「インフレとエネルギー供給とそのコストに関する不確実性は、ガスや電気を多用する産業に影響を与える」としています。
9月以降もユーロ圏のインフレが、さらに進むことになるのか注目です。
(この動画は4分50秒あります)