ロシア政府は2023年をどのような年にしたいのか。
それを読み解く上で注目したのが、去年12月に中国の習近平国家主席と会談するなど存在感を表しているメドベージェフ前大統領です。
メドベージェフ氏は、2023年に起こり得ることとして10の予測を発表しました。
(1)エネルギー価格が急騰しそれを受けて、(3)EUが崩壊。
(6)ヨーロッパとアメリカでは、(8)それぞれ戦争が発生し、分裂する。
(10)ユーロとドルが世界の準備通貨として流通できなくなるなど、かなりメドベージェフ氏の妄想、希望する世界が描かれている気がします。
ここから読み取れるのは、現在対ロシアで維持している「欧米の結束」と、戦後に西側が築き上げた「欧米主導の国際秩序」をロシア政府が打破したいという目標。
プーチン政権は反欧米を掲げることで、欧米ではない国々との関係つなぎ止めを図る狙いです。
一方のウクライナ政府も来年は欧米以外の国々との関係が極めて重要という考えを示しています。
ゼレンスキー大統領は来年の外交目標について「まずウクライナの安全保障と国民の利益を考えると我々の影響力が不十分な国々、特にアフリカ諸国そしてグローバルサウス、つまり中南米、アジアや太平洋地域でウクライナの立場を強固にする」述べました。
ロシアに戦争をやめさせるためには、欧米の結束に加えて、欧米以外の国々、第3極やグローバルサウスと呼ばれる国々を味方につけてロシアに働きかける必要があるという認識で、この認識はウクライナだけでなく、日本や欧米も共有しています。
ロシアによる軍事侵攻は残念ながら年を越し長期化する見通しですが、一刻も早く終止符をうち、1人でも多くの人の命を救えるかどうか。
2023年は各国の外交力もその真価が問われることになります。
油井秀樹(「国際報道2023」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分33秒あります)