【解説】犠牲者増加も”我慢比べ” ロシア・ウクライナの思惑 (油井'sVIEW)

NHK
2022年6月6日 午後0:51 公開

欧米によるウクライナへの軍事支援は徐々に強化されてきています。

例えばアメリカの場合、当初は携帯型のミサイル「ジャベリン」や「スティンガー」を供与。

それが破壊力がより強い「りゅう弾砲」となり、先日には射程がその倍以上の「ハイマース」の供与を発表しています。

今度は無人機・ドローンでもアメリカがさらに踏み込む可能性があるとして、注目されています。

アメリカは現在、「スイッチブレード」など小型で携帯できる自爆型のドローンを供与していますが、先日ロイター通信が報じたところによりますと、無人攻撃機「グレイイーグル」の売却を検討しているというのです。

「グレイイーグル」は自爆型ドローンのような使い捨てではなく、上空から複数のミサイルを発射できる、より本格的な無人攻撃機です。

ウクライナ軍はすでにトルコ製の「バイラクタル」などの無人攻撃機を保有していますが、「グレイイーグル」はより強力かつ高性能で、もし加わることになれば攻撃力はかなり上がるといえます。

ただウクライナ側の被害は深刻で、犠牲者は数万人に上るとしています。

ロシア軍にも被害は出ているものとみられますが、プーチン大統領の強気の姿勢に大きな変化はみられません。

プーチン大統領は戦闘が長期化し、食糧や燃料の物価が国際的に高騰すれば、ロシアよりも欧米諸国が先に音を上げると踏んでいるようです。

軍事侵攻は100日を経て、双方の"我慢比べ”の様相を呈してきています。


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分54秒あります)

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