【解説】ウクライナが危惧するベラルーシ参戦のゆくえ (油井'sVIEW)

NHK
2022年6月28日 午後5:05 公開

ロシアのプーチン大統領は軍事侵攻後初めて国外へ出て、タジキスタン、トルクメニスタンなどを訪問し首脳外交を行います。

ベラルーシのルカシェンコ大統領とはロシア国内で会談したばかりですが、一部メディアは訪問かオンラインでの首脳会談を調整中だと伝えています。

週末の会談では、プーチン大統領は核弾頭の搭載も可能な短距離弾道ミサイル「イスカンデルM」を今後数か月以内にベラルーシに供与する考えを示しました。

こうしたロシアとベラルーシの同盟関係について、ウクライナ政府は今、ロシアがベラルーシを軍事侵攻に参加させようとしていると主張し、警戒しています。

ウクライナ国防省の情報機関は、ロシアがウクライナ北部や西部などを狙ったミサイル攻撃について「初めてベラルーシの領空から空爆を行った」と指摘し、ベラルーシを軍事侵攻に参戦させる狙いがあると主張する声明を発表しました。

その上で、ロシアがひそかにベラルーシ国内でテロ計画を起こし、ウクライナの犯行に仕立てる情報もあると主張。

ゼレンスキー大統領はベラルーシ国民に「ベラルーシの人たちは戦争ではなく我々ウクライナ人を支持していると知っている。ロシア政府はベラルーシの人たちを戦争に引き込み、憎悪でウクライナの人たちと引き離そうとしている。ベラルーシの人たちは参戦を回避できる、あなたの命はあなたのものだ」と呼びかけました。

これまでベラルーシのルカシェンコ大統領は国内に反対が根強いことから直接的な戦闘参加を控えてきましたが、プーチン大統領が外交の動きを強める中で変化があるのかが焦点となっています。


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分40秒あります)

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