【解説】プーチン大統領へ国際的圧力 カギは"第3極"(油井'sVIEW)

NHK
2022年10月7日 午後2:14 公開

長引く軍事侵攻の中でプーチン大統領への圧力として重要なのが国際世論です。

その鍵を握るのはウクライナ・欧米側にもロシア側にも属さない第3極とも言える国々でしょう。

ウクライナ政府は特にアフリカの国々にウクライナの立場をわかってもらおうと、クレバ外相が今週から1週間あまりの日程で異例のアフリカ歴訪を行っています。

<コートジボワールを訪問するウクライナ クレバ外相>

クレバ外相はこれまでにセネガルやコートジボワールを訪問し、戦争で一時輸出が滞ったウクライナからの食料をできるだけ多くアフリカに送る姿勢を示したということです。

この背景にはロシアが最近、アフリカに寄り添うような主張を繰り返していることがあります。

プーチン大統領は「欧米はウクライナから穀物輸出を再開させた。貧困国に送るという名目だったのに一体どこに送っているのか。送り先は欧州で貧困国には5%しか送っていない」と述べたのです。

ウクライナ政府はこうしたロシア側の主張を虚偽だとしていて、クレバ外相のアフリカ歴訪でロシアの主張をそのまま受け入れないよう各国に訴える狙いがあるとしています。

アフリカでは、自国の武器や食料をロシアからの輸入に頼るなど、ロシアとの関係が深い国が少なくなく、ウクライナ側の主張をどこまで受け入れるかは不透明です。

ただロシアが一方的にウクライナの4州を併合すると宣言したことで、ロシアに対する国際世論は、一段と厳しくなると見られています。

国際世論の論調は 注目される来週の国連総会緊急特別会合

この国連総会緊急特別会合では、ウクライナの4つの州を一方的に併合すると宣言したロシアの行為は認められないなどと非難する決議案の採決が行われる見通しです。

ことし3月にも国連総会で軍事侵攻したロシアを非難する決議案がありました。

その結果は

賛成 141か国

反対  5か国

棄権  35か国

となっています。

欧米やウクライナは今回も圧倒的多数の賛成を得て結束を示したい意向ですが、これに対して、ロシアはアフリカなど途上国に寄り添う姿勢を強めて対抗する構えで、欧米とウクライナは国際的な圧力をロシアに突きつけられるのか試されています


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分46秒あります)

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