【MondayBiz】暖房か食料か 英ウォーム・バンク登場【世界経済を先読み!】

NHK
2022年10月18日 午後9:45 公開

MondayBiz

毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。 マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです


イギリス 暖房か食料か 迫られる状況に「ウォーム・バンク」が登場

電気やガスなどのエネルギー価格が高騰する中、イギリスで盛んに言われているのが「ヒーティング」or「イーティング」。

つまり、この冬「暖房」か「食料」か、どちらを優先するのか迫られる人が増えると言われているのです。

そんな深刻な状況を浮き彫りにするのが「ウォーム・バンク」として準備されている場所です。

食品を無償で提供するフードバンクはよく知られていますが、この「ウォーム・バンク」は図書館やコミュニティスペースなどを市民が暖を取れるように朝から晩にかけて開放するものです。

この場所は慈善団体が地元議会の支援や一般からの寄付を受けて運営し、キッチンで暖かい飲み物や軽食を提供するほか、長くいられるように充電器なども用意する予定です。

ロンドンの朝晩の気温は10度に近づいています。

今後、本格的な冬を迎えるにあたって全国各地で一気に「ウォーム・バンク」が増える予定です。

管理する担当者は「この冬に家を暖める余裕がなく寒さで凍死する人が出るのではととても心配しています。イギリスでは人々が寒さと光熱費による本当の危機に直面しているため、わたしたちは『ウォーム・バンク』を開くことにしました」と話しています。

現地メディアはイギリスの一般的な家庭で、電気・ガスの年間料金が2500ポンド、およそ42万円に高騰していると伝えていて、状況は一層深刻になりそうです。

マレーシアでガス漏れ 日本の電力にも影響?

マレーシア国営のエネルギー会社「ペトロナス」は、10月下旬に起きた地滑りの影響で、LNGの生産設備のパイプラインでガス漏れが発生し、ボルネオ島での生産の一部に影響が出ていると8日に発表しました。

日本にとってマレーシアはオーストラリアに次いで、LNGの調達先で2位です。

ただでさえウクライナ情勢を背景に、LNGの国際的な取り引き価格が上昇する中、日本への影響が懸念されます。

アメリカ IT企業各社で新規採用に異変 人件費見直しの動き

IT企業各社の決算が今週から本格化しますが、企業の動き、特に「新規採用」に異変です。

アマゾンはコロナ禍でネット通販の需要が拡大し好調でしたが、インフレの影響で景気減速への懸念が強まる中、「新規採用」を見送るなど、人件費のコストを見直す動きが出ていると伝えられています。

この他、旧フェイスブックのメタも“採用の凍結”などが報じられています。

中国 7~9月までのGDP発表 異例の延期

18日に7月から9月までのGDP=国内総生産が発表される予定でしたが、中国政府は17日午後になって延期すると明らかにしました。

国の重要な経済指標であるGDPの発表が延期されるのは極めて異例です。

中国政府はホームページ上で「発表日程は当初の計画で調整される可能性もある」としています。

中国のGDPは4月から6月は、プラス0.4%と実質ゼロ成長で、今回はエコノミストなどの予想では去年の同じ時期と比べてプラス3%台などと、伸び率は上回るものの、回復は鈍いとみられていました。

市場関係者は「共産党大会が開かれていることを考慮したのではないか。統計の水準がよくないために公表を延期したととられてもおかしくない」と話しています。

(この動画は5分1秒あります)