ロシアが強行した住民投票と称する活動に対し欧米は茶番だとして認めない立場ですが、実は、ロシアに関係が近い国からも認めないという声が出ています。
その1つが、セルビアです。
セルビアは民族や宗教がロシアに近く伝統的な友好関係で知られてきましたが、セルビアの外相は25日、ロシアの行為を国際法違反という認識を示し「投票の結果を受け入れない」と明らかにしたのです。
さらにロシアの隣国で旧ソビエト圏のカザフスタンも、外務省報道官が26日に住民投票を認めない考えを示したのです。
カザフスタンと言えばことし1月大規模な反政府デモが発生し混乱しましたが、ロシアからの部隊派遣で秩序を回復したことから、ある意味、プーチン大統領に助けられたとも言えますが、ウクライナによる軍事侵攻後はロシアと距離を置く姿勢を取っています。
プーチン大統領はおよそ2週間後にこのカザフスタンを訪問して旧ソビエト圏の国々と首脳会議を開く予定で、ウクライナ情勢にも理解を求める狙いだっただけに、ホスト国のカザフスタンから住民投票は認められないと突きつけられたことはプーチン大統領には痛手と言えそうです。
ロシア強硬姿勢崩さず…ロシア国営テレビでは外国からの投票監視員の存在アピール
ロシアの国営テレビが伝えたのは、ウクライナの現地にブラジルや南アフリカなどの監視員がいるということです。
さらになぜかロシアの首都モスクワにも外国の監視員がいるとして彼らの声を紹介しています。
アメリカの監視員とされる人は「今まで規則違反は見られない。規則に基づいて投票が行われている。欧米のニュースは武装した人たちが強制的に投票させていると報じているが事実は異なる」と語り、ギリシャの監視員とされる人物は「私が見たところ、投票者は喜んで投票に来ている。最も大事なのは恐れずに来ていること」と述べているのです。
ロシア側はこうした外国人の声を紹介することで、みずからの行動を正当化し国内外からの批判をかわす狙いと見られます。
これに対してウクライナ側は「ロシア側が監視員と呼ぶ人たちはプーチン政権を支持する外国人協力者だ」などと主張し、決して認められないと批判を強めていて、住民投票をめぐる国際世論を勝ち取る戦いも活発になっています。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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