ミャンマー、クーデターから2年 日系企業は?【Monday Biz】

NHK
2023年2月1日 午後7:56 公開

Monday Biz
毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。 マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです


(「国際報道2023」で1月30日に放送した内容です) 

アメリカ・ヨーロッパ:金融政策会合 2回連続利上げ幅縮小か

今週、アメリカとヨーロッパでそれぞれ、金融政策を決める会合が開かれます。

アメリカのFRBは、記録的なインフレを抑えるため、去年(2022年)11月まで、通常の利上げ幅が0.25%のところ、4回連続で0.75%という異例の大幅利上げを行ってきました。ただ、前回は、0.5%に縮小。

その理由は、市場でインフレが「ピークを越えた」という見方が出ているからです。消費者物価指数の伸び率も、先月は、6.5%とおよそ1年ぶりに6%台となっています。こうしたことから、今回はさらに利上げ幅を縮小し、0.25%の利上げになるという見方が広がっています。

ヨーロッパ中央銀行も2月2日に理事会を開きます。
こちらはアメリカとやや事情が異なります。

ユーロ圏19か国の、去年(2022年)12月の消費者物価指数の伸び率は9.2%と「なお高い水準」にあるとして、今回も前回に続き、0.5%の利上げになるという見方が広がっています。

双方ともに、インフレと景気をてんびんにかけた難しいかじ取りを迫られています。

 

中国:景気回復の兆しは? 31日に製造業PMI発表

「ゼロコロナ政策」の終了後、景気は回復するのでしょうか。
1月の景況感を示す、製造業PMIが、31日に発表されました。

PMIの指数は50を下回れば、景況感が悪いとなりますが、先月は感染急拡大の影響で、その50を3か月連続で下回り、2020年3月以降、最も低い水準にまで落ち込んでいました。

また、宿泊や飲食などの非製造業の景況感指数も先月は「41.6」と、こちらも2020年3月以降、最低の水準となっていました。

製造業PMIは31日の発表では、景気判断の節目となる「50」を4か月ぶりに上回る「50.1」となり先月(12月)から3.1ポイントと大幅に上昇しました。

ミャンマー:クーデターから2年 日系企業は?

2月1日で軍によるクーデターから2年となるミャンマー。

「アジア最後のフロンティア」とも呼ばれてきましたが、クーデター後、経済の低迷が長期化し、進出企業は対応を迫られています。

最大都市ヤンゴンでドライバー付きのレンタカー事業を行う日系の企業。厳しい経営が続いています。クーデターで、主な顧客だった日本など外国企業の駐在員が減ったため、売上はクーデター前の半分ほどに減少しました。さらに政情不安を背景にした通貨安による輸入燃料の価格上昇も重くのしかかっています。ガソリン価格はクーデター前の3倍以上にもなりました。

企業の間では縮小や撤退を検討する動きが出ています。
JETRO=日本貿易振興機構が、現地の日系企業を対象に去年行った調査では、今後1、2年のミャンマーでの事業について、移転や撤退とした企業が6%、縮小とした企業は30%にのぼりました。

レンタカー会社ではミャンマーから撤退はしないとする一方、今後のビジネス拡大のためには、ほかの国での事業が必要と判断。去年、隣国のバングラデシュに進出しました。人口が増加し、成長が期待されるバングラデシュで、ドライバーにトレーニングを行いながら事業の拡大を進めようとしています。

レンタカー会社 芳賀啓介社長

「(ミャンマーは)伸びていく国と言うことで大きな流れを感じて仕事をしていたが、それが今では全く逆の状況になってしまっている。伸びていく国と言うことで、他の選択肢を考えた」
 

専門家は、今後も経済の大きな回復は期待できないとして、進出企業の撤退や事業縮小が増えると予想しています。

上智大学 根本敬教授

「今年、総選挙を控えているとは言え、やるにせよ延期するにせよ、ミャンマーの状況が良くなることは全く考えられないので、ビジネス環境としては、未来が見えない、光が見えない、という状況にある」

日系企業各社は、ミャンマーでのビジネスを継続するのか、それとも撤退や縮小をするのか、判断を迫られる局面に来ているようです。