ペロシ下院議長の台湾訪問について、アメリカ議会では温度差はあるものの超党派で訪問を支持しています。
アメリカ議会上院で野党・共和党のトップ、マコネル院内総務ら共和党の上院議員26人は共同で「ペロシ下院議長が台湾を訪問したことは非常に重要だ。アメリカ議員の訪問先を中国政府が指図すべきではない」とペロシ議長の決断を支持する声明を発表しました。
さらに議会上院の外交委員会のトップ、与党・民主党のメネンデス外交委員長は、アメリカの新聞ニューヨークタイムズに寄稿。
この中でメネンデス氏はペロシ議長の台湾訪問を正しい行動とした上で「私たちはウクライナでロシアによる軍事侵攻を止めることができなかった。この過ちを決して台湾で繰り返すわけにはいかない」と述べた上で、共和党の議員と連携して「2022年台湾政策法案」の成立を目指していくと宣言しているのです。
「2022年台湾政策法案」とは
・今後4年間で45億ドルの軍事支援を台湾に提供する。
・台湾に対する敵対的行為には厳しい制裁を発動する。
・台湾をNATO非加盟の主要な同盟地域に指定する。
などが盛り込まれ、成立を目指す理由はウクライナで起きた悲劇を台湾で起こさせないためとしています。
しかしアメリカのブルームバーグは、ホワイトハウスが「この法案が中国との緊張をさらに高める危険性がある」として「与党・民主党に法案に反対するよう働きかけている」と報じたのです。
この法案が成立すれば、台湾を正式に同盟扱いすることになり、台湾に対する防衛義務が生じ、アメリカ政府の従来の方針であるアメリカ軍が介入するかどうか曖昧にする戦略を転換することになりかねないとホワイトハウス内で懸念の声があるということなのです。
ウクライナ情勢に加えてアメリカ国内では11月の中間選挙もあって、中国に強硬な姿勢が目立つアメリカ議会。
バイデン政権は議会との溝を埋めながら、覇権主義的な行動を続ける中国との関係をどう管理していくのか問われています。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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