戦闘が長期化する中でロシア・ウクライナ双方とも他国からの兵器の調達が一段と重要となってきています。
ウクライナ軍は、東部ハルキウ州で撃墜した無人機の残骸に関して、ロシアがイランから調達した無人攻撃機だと主張しているのです。
イラン製のシャヒド136で、イランが2000キロ以上飛行できるとしている自爆用の無人機だと言います。
イギリスの国防省も9月14日、このイランの無人機をロシアが戦場で使用し始めた可能性が高いという分析を明らかにしました。
またウクライナ側もトルコ製の無人攻撃機 「バイラクタル」を使用しており、今回の戦争でも大きな役割を担ったと言われ、最近では、外国からの募金でこのバイラクタルを調達するケースも目立っています。
ウクライナのゼレンスキー大統領もこの無人機を製造するトルコ企業のCEOを大統領府に招いて会談し、ウクライナの防衛に多大な貢献をしたとして表彰したほか、ウクライナ国内にこの無人機の製造工場を建設する計画を明らかにしたのです。
工場の建設の時期など詳細は明らかになっていませんが、戦闘の長期化も視野に無人機を安定して調達したい思惑がウクライナ側にあるのではという臆測もでています。
"ドイツに失望"戦車求めるウクライナにドイツ 温度差
しかしこの兵器調達をめぐり、ウクライナとドイツの間で足並みの乱れが伝えられています。
ウクライナとしては領土奪還をさらに進めるためには、最新の戦車などが必要だとし、ドイツに対して、戦車の「レオパルト2」や歩兵戦闘車「マルダー」の供与を求めているのです。
先日、キーウで行われたウクライナとドイツの外相会談でもこの問題は議論されましたが、結論は出なかった模様です。
会談のあと、ウクライナの大統領府顧問は、わざわざドイツ語でSNS上に「ドイツの“政治的決定”がないため、この半年、戦車がない。ドイツよ。私たちはあなたの決定を待っている」と書き込みました。
さらに、ウクライナの外相も9月13日SNS上に「ウクライナはレオパルトとマルダーを必要としているが、ドイツのメッセージは失望だ」と書き込んだのです。
ドイツは戦車など最新の兵器の供与には慎重ですが、ウクライナへの支援は基本的には積極的で、双方の温度差がウクライナの反転攻勢にどこまで影響を及ぼすのか注目です。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。