【MondayBiz】生産拠点ベトナム欧米景気減速で輸出減【世界経済を先読み!】

NHK
2022年12月20日 午後5:51 公開

MondayBiz

毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。 マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです


ベトナム“欧米の景気減速”で輸出に影響が?

製造業の生産拠点が集まるベトナムでは、欧米の景気減速によるとみられる影響が「輸出」に出始めています。

ベトナム、ホーチミンのジーンズ工場ではことし7月以降に受注が急減し、生産量がいつもの半分にまで落ち込みました。

雇用を守るため、1人1人の労働時間を短くする短時間勤務を実施。

普段は従業員でいっぱいの食堂も空席が目立ちます。

背景には輸出の40%を占めるアメリカと35%となるヨーロッパ各国の利上げを受けた景気減速があるとみられています。

ジーンズ工場のファム・バン・ベト会長は「コロナ禍を経てサプライチェーンを多様化することで回復は早かったが、現在のように輸出で困難な状況に直面した場合、克服することは非常に難しい」と語ったのです。

JETRO=日本貿易振興機構によりますとベトナムからアメリカへの輸出額は、ことし10月まで前の年の同じ月と比べてプラスを続けてきましたが、11月は一転、マイナス15.5%となり、去年9月以来の減少になりました。

労働組合によりますとベトナムではすでに、4万人以上が職を失ったほか、40万人以上が労働時間の短縮を余儀なくされているということです。

東南アジアとしては経済的なつながりがより深い中国も 新型コロナの感染拡大で景気に懸念があることから、先行きに多くの不安を抱える状況となっています。

イギリス“賃上げを!”クリスマス休暇にストライキの波

不安の広がりはアジアだけではありません。

イギリスではクリスマス休暇を前に賃上げを求めるストライキが相次いでいます。

11月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べて10.7%の上昇。

3か月連続でふた桁の高い伸び率を記録し、現状の給与のままでは“実質の賃下げ”だとして不満が高まっています。 20日には46万人以上の看護師や助産師などが加入する労働組合が、今月に入って2度目となる大規模なストライキを実施予定のほか、郵便事業を行う「ロイヤル・メール」の労働組合も、繁忙期のクリスマスにかけてストライキを実施するとしています。

また鉄道職員によるストライキも始まっていて、移動に影響も出始めています。

イギリスに平穏な“聖なる夜”は訪れるのでしょうか。

アメリカ バイデン政権「EV支援策」の波紋

バイデン政権のEV=電気自動車の支援策が波紋を呼んでいます。

消費者がEVを購入した際に、最大100万円程度の「税制優遇」を受けられる仕組みが、来月からスタートします。

問題はその条件で、EVの最終組み立てを北米地域で行うことと、リチウムなどの調達や加工をアメリカもしくはFTA締結国で行うことなどをあげています。

EVで高いシェアを持つ中国に対抗する狙いとみられますが、中国だけでなくEUや日本、韓国などのメーカーも条件を満たせなければ優遇は受けられません。

フランスや日本は条件の見直しを求めていて、その対応が注目されます。

中国 広州モーターショー“異例の年越し開催”へ

国内最大規模の「広州モーターショー」が、今月30日から1月8日にかけて異例の“年越し開催”となりました。

例年、各メーカーが実際に販売するモデルを多く出展することから、販売戦略が色濃く出ると注目の広州モーターショー。

新型コロナの感染拡大で延期されていましたが、中国政府が今月、感染対策を緩和したことで日程が決まったとみられます。

中国では11月の新車販売台数が半年ぶりに、前の年の同じ月と比べてマイナスに転じるなど自動車市場の動向にも不安が生じています。

感染対策の緩和を受けて、回復に転じる兆しがモーターショーで見られるのか注目です。

(この動画は5分15秒あります)