ロシアにとって国際社会から孤立するのを避けるため重視している枠組みがBRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカです。
ロシアはこのBRICSを「新しい世界秩序の中心」とまで呼び、BRICSと連携することで欧米による制裁の痛みを回避する狙いです。
先週、フィンランドの研究機関が発表した報告書では、ロシアが石油やガス、石炭を輸出して得た収入は3月をピークに減少しているものの、依然として莫大な収入を得ており、侵攻からの100日間で日本円にして約13兆円と見積もっているということです。
ではどこの国がロシア産のエネルギーを多く購入しているのでしょうか。
1位 中国
2位 ドイツ
3位 イタリア
しかしヨーロッパの国々はロシアに対する制裁によって今後の購入量は次第に減る見通しのため、ロシアは中国やインドに強い期待を寄せています。
現にインドはロシアからの原油の購入を、最近大幅に伸ばしているのです。
またBRICSの一角の南アフリカのエネルギー相も先週「ロシアから原油を安く購入することを検討すべきだ」と発言しています。
ロシアのマントゥロフ産業貿易相は先月、ロシア産のガスや石油を精製する合弁企業をBRICSで立ち上げる案を各国に提案したとも明らかにしています。
またロシアのデニソフ駐中国大使は「国際通貨としての米ドルの役割と力は低下した。我々はドルに変わるものを必要としている」と述べ、欧米に依存しない決済システムをBRICSで立ち上げることも提案しているのです。
BRICS各国はロシアの期待にどのように応じるのか。
欧米が目指す「対ロシア包囲網」や制裁の行方にも影響を及ぼすだけに注目されます。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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