「ロシア軍が来年の早い時期にも再び大規模な戦闘を仕掛けてくる可能性がある」とウクライナ政府から警戒の声が出始めました。
ゼレンスキー大統領は「クリスマスは平和を語る時だ」と述べ、クリスマスを機にロシア軍の撤退を始めるよう訴えました。
しかしロシア側は全く関心を示しておらず、記者から「ロシア政府は、クリスマスもしくは新年の停戦の可能性を検討していますか?」と聞かれたペスコフ報道官は「いいえ。誰からも提案を受け取っていません。その話題は議題にありません」と答えたのです。
こうしたことからか、ウクライナのクレバ外相は兵力不足や武器不足まで指摘されるロシア軍について「ロシア軍はおそらく大規模な攻撃を行う能力を来年の1月末か2月までに取り戻すだろう。ロシア軍はそれを目指している」と語りました。
注目は欧米から迎撃ミサイル「パトリオット」など、ウクライナ政府が要望する兵器がどのくらい供与されるかです。
クレバ外相は、今回、前線に砲弾が足りないと強調し、欧米各国に砲弾の提供も求めています。
ウクライナ政府取り組むロシア軍の戦意を喪失させる作戦―前戦のロシア兵に投稿呼びかけ
ウクライナ政府は前線のロシア兵を対象に、ウクライナ側に投降する手順を説明する動画を公開しました。
事前にウクライナ側のホットラインに投降の場所と時間の通知を求め、ウクライナ側はドローンを飛ばして接触するとしています。
動画では「ドローンを見つけたら両手を挙げて振ってください。ドローンがあなたたちをウクライナ軍と出会える場所まで誘導します」と説明していました。
ロシアが再び大規模な攻撃を仕掛けてくるのは何としても避けたいとするウクライナ。
この冬をロシア軍復活の冬にしては決してならないと訴えています。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分52秒あります)