【解説】ロシア多用のイラン製無人機部品は 外国製…日本製も?(油井'sVIEW)

NHK
2022年11月16日 午後5:56 公開

ウクライナの電力インフラなどを狙った攻撃でロシア軍が使用しているのが、イラン製のドローン・無人機です。

「イラン製」なのですが、その部品はというと欧米や中国など外国製が多いと指摘され始めています。

アメリカのシンクタンク・ISIS(科学国際安全保障研究所)は、ロシアが使用しているイラン製の無人機3種類について現地メディアなどオープンソース情報を基に“部品の調達先を分析”しました。

その結果シャヘド136のエンジンは、設計がドイツで生産は中国

電子部品のマイクロコントローラーや燃料ポンプはアメリカ製

また無人機のエンジンはオーストリア製など欧米の企業が関わっている部品が少なくないと分析しています。

さらに欧米が設計した部品を中国企業がコピーして生産しイランに供与している可能性が高く、ISISはイランの無人機生産の背景には中国が大きな役割を担っているという見方を示しています。

日本製のカメラが…イラン製の無人機にも搭載されている?

またウクライナの現地メディアによりますと、イラン製の無人機「モハジェル6」については、日本製のカメラが搭載されているとしています。

このカメラを生産した日本企業は、NHKの取材に対して「全世界で軍事目的のビジネスは行っていない。詳細はわからない」としています。

ISISは民生用で売られている部品や商品をどこかでイランが取得し、軍事用のドローンとして組み込まれていると分析しています。

ことし春には、ウクライナ軍が戦場から回収したロシア製の無人機を分解する映像を公表し、カメラやエンジンが日本企業の製品ということで話題になりましたが、ロシア製だけでなくイラン製の無人機にも日本や欧米の製品が使われている可能性が高いといいます。

アメリカのネルソン財務次官は「イランとロシア以外の企業もイランの無人機開発を支援しないよう細心の注意を払うべきだ」という声明を発表して、各国に注意を呼びかけているのです。

ウクライナの市民を恐怖に陥れているイラン製の無人機をつくるため、イランがどのように外国製の部品を手に入れたのか。

アメリカなどは調査を進めていて、イランやロシアに対する輸出管理が問われそうです。


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分38秒あります)

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