ロシア製の兵器を拒む動きが進む兆しが見え始めています。
フィリピン政府はロシアから、ロシア製のミル17ヘリコプター16機を購入する計画でしたが、6月にこの計画を破棄する方針を発表しました。
その理由は、ウクライナの軍事侵攻と欧米による制裁が、フィリピンに与える影響への懸念でした。
アメリカ政府による働きかけもあったとみられ、ロシア製のヘリプターに代わって、現在はアメリカ製のヘリコプター、CH47をアメリカが売却する方向で両政府の間で協議が進んでいると見られているのです。
フィリピンだけでなく、インドでもロシアからのヘリコプター購入計画が見直されたと一部で報じられていて、こうした動きがどこまで広がるかが焦点です。
ロシアに代わり武器市場で存在感を高める機会だとみている 欧米や中国
ロシアの軍事産業は、欧米による制裁で半導体などが入手できず、兵器の生産は難しくなっていると指摘されています。
ただ、どの程度難しくなっているのかは、実はよくわかっていません。
ウクライナ軍の情報当局は「ロシア軍は欧米の制裁を逃れて今もロシア国内で一定の巡航ミサイルやその他の兵器を生産できる状況だ」と発表しました。
"ロシア軍はいまも巡航ミサイルなど生産を続けている" イギリスの調査機関が発表
そしてイギリスの調査機関は、首都キーウに撃ち込まれたロシア軍の複数のミサイルの残骸を調査した結果、その部品の製造番号などから発射の2か月前など最近生産されたミサイルという分析を明らかにしました。
その上で、ロシア側はロシア国内で現在も高性能の巡航ミサイルなどの生産を続けられているほか、欧米の制裁を免れて部品を欧米から入手できていると結論づけたのです。
これまでの制裁によってロシアの軍事産業がどこまで大きな打撃を受けているのか。
欧米などは実態解明に乗り出すとともに部品などを欧米から入手できないよう対策を強化していく構えです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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