ウクライナ情勢によって食糧危機の懸念が高まっています。
激しい情報戦が行われているのが、食料危機が最も心配されているアフリカです。
今週、アフリカ連合との会合で演説したウクライナのゼレンスキー大統領。
「食料危機の責任はロシアだ」というメッセージを強調し、「制裁を科した欧米に圧力を加えるために、ロシアはアフリカの人たちを困らせて故意に状況を悪化させている」と語りました。
ロシアの主張がアフリカで受け入れられている 背景に「報告書」の存在が
というのもロシア政府は、「欧米によるロシアへの制裁こそがエネルギーや食料それに肥料の価格高騰を招き、世界的な食料危機につながっている」と結論づけた報告書を作成し、アフリカなど世界各国に配布し「食料危機を回避するためには欧米に制裁解除を迫るべきだ」と訴えているのです。
さらにプーチン大統領やラブロフ外相はアフリカの首脳と会談し、ロシア側の主張を展開しているほか、インターネット上でもロシア側の主張を拡散しています。
EUは各国に書簡 「これは情報戦だ、戦わなければならない」
この状況にEUも動きました。
EUの外相にあたるボレル上級代表は「我々がロシアに科した制裁にアフリカの指導者たちから懸念の声が出ている。これは(情報の)戦いだ。戦わなければ」と述べ、ロシア側の主張が間違っていることを説明するため、アフリカの全ての国の外相に書簡を送ったことを明らかにしたのです。
国際世論を味方にするための情報戦と外交が激しさを増しています。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分28秒あります)
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