【独自】駐ウクライナ大使 侵攻は今が局面 自然災害乗り越えてた日本 復興に尽力を

NHK
2022年8月29日 午後6:02 公開

約5か月ぶりにウクライナの首都キーウに戻り、ウクライナの政府関係者などと意見交換を行っている松田邦紀駐ウクライナ大使に、今後の見通しを聞きました。

「まさに今が戦争の山場、大きな局面だ」

油井秀樹「国際報道2022」キャスター:戦争はこう着状態とも言われていますが、松田大使が注目している今後の節目やポイントなどはありますでしょうか。

松田邦紀駐ウクライナ大使:ウクライナ軍は南部ヘルソン方面やザポリージャ方面で反転攻勢に出るなど、各地で活発な動きを見せております。私が注目しておりますのは、ロシアによって占領され続けている地域においても、パルチザンによる攻撃や市民の抵抗運動というのが、行われていると言うふうに聞いております。そう言う意味では、戦争はですね、一つの山場、大きな局面を今迎えていると言っていいのかもしれません。

松田駐ウクライナ大使:私はこの現在のウクライナ軍の攻勢が今後どのように進んでいくのかと同時にロシア軍の継戦能力はどの程度なのか、そういったところに注目しながら国際社会としてこの戦争をしっかりと注目していく必要があるかと思います。ロシアがそもそも侵略戦争を行い、占領した地域において一方的に住民投票をするといったそういった結果を国際社会としては受け入れることはできないというふうに考えております。

油井:「支援疲れ」という指摘もありますが、松田大使は国際社会の結束ぶりをどう見ていますか?

松田駐ウクライナ大使:引き続きしっかりと生きているというふうに感じております。今月に入ってクリミアプラットホームサミットが開催されて、日本からは岸田総理がメッセージを送るなど、60人以上の指導者が参加しております。さらには24日には国連において、安全保障理事会でウクライナ問題に関する公開会合を開催しております。そしてその後、日本を含む58の国が、ウクライナに連帯するための共同ステートメントというのを出しております。従って、私はウクライナ問題に対する国際社会の熱意、そして関心というものは、しっかりと定着していると考えます。

自然災害から立ち直った日本のノウハウを復旧復興に

酒井美帆「国際報道2022」キャスター:ウクライナ政府は、日本政府にどのような役割を期待していると感じますか?

松田駐ウクライナ大使:開戦以来、すぐに対ロ制裁そしてウクライナ支援について 積極的に取り組んだこと、日本政府が各国に対して外交的な働きかけを行ってきていることを高く評価しています。さまざまな自然災害から立ち直ってきた日本の持つ豊かな経験とノウハウ、人材とさまざまな資機材、こういったものを、自分たちの今後の復旧復興にぜひとも生かしたいという強い期待が寄せられています。

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