インバウンドをAIが後押し!通訳機 in タクシー【MondayBiz】

NHK
2023年4月19日 午後7:21 公開

最新の世界経済の動きをお伝えする「マンデービズ」。

毎週月曜日にマーケットが注目する世界の重要イベントを深読みするコーナー。栗原キャスターも直接現場を取材し、ビジネスの“いま”をお伝えします。

(「国際報道2023」で4月17日に放送した内容です)

【アメリカ】原油高再び?懸念も…

国際的な原油取り引きの指標となる「WTI先物価格」はこのように、今月に入って上昇。先週12日には 1バレル=83ドル台をつけ、およそ5か月ぶりの高値まで上昇しました。

これまでどんな動きを見せてきたのか。先月は、1バレル=70ドルを割り込むなど、下落傾向にありました。 背景にはアメリカで相次いだ銀行の経営破綻などの影響があります。

これに、OPECプラスをつくるサウジアラビアなどの主な産油国が対応します。 4月2日、原油の生産量を来月(5月)から大幅に減らす方針を発表。 突然の発表で価格上昇につながりました。

こうした動きに、アメリカでは懸念も広がっています。 原油価格の上昇傾向が続けば、インフレの収束により時間がかかることになるからです。中央銀行にあたるFRBは難しいかじ取りを迫られそうです。

【オーストラリア・インド】相次ぐ利上げ見送りの理由は?

そのアメリカを含め各国が利上げを継続する中、オーストラリアとインドで金融政策に変化の兆しです。

こちら、オーストラリアとインドの政策金利の推移。このように、両国ともに、利上げを続けてきたのですが、今月は、いずれも利上げを行いませんでした。

いったいなぜか?オーストラリアでは、物価上昇率が1月2月と、2か月連続で低下し、 中央銀行は「インフレがピークを越えた」として、いったん様子をみることに。

一方、インドの中央銀行の総裁は「先進国で起きている金融部門の混乱によって世界経済が不穏な状況にある」とコメント。

アメリカで銀行の破綻などが相次ぐ中、動揺が広がらないか警戒したとみられます。各国の中央銀行は利上げによる副作用への注意も必要になっていて「利上げ、どうするのか?」と、今まで以上に難しい政策判断が求められています。

【ヨーロッパ】「ChatGPT」規制検討の動き

アメリカのベンチャー企業が開発し、世界で急速に利用者を増やす対話式AI「ChatGPT」。ヨーロッパでは、個人情報の保護などを理由に規制を検討する動きが広がっています。

先月、イタリアのデータ保護当局が使用を一時禁止したのに続き、フランスやドイツも「規制」を設けるか検討中だと伝えられています。

4月13日には、EUの「ヨーロッパデータ保護会議」が専門の作業部会を設置すると発表。規制も念頭に意見交換していくものとみられます。今回のこうした規制の動きが世界に影響を与えるかも含めて注目です。

【日本】インバウンドをAIが後押し

そしてAIの話題です。日本国内でもインバウンドの受け入れが本格的に復活する中、大きく進化したAIに、期待が寄せられています。

栗原:観光地定番の浅草に来ました! コロナの水際措置が緩和されたことを受けて、外国からの観光客の姿も目立ちます

オーストラリアからの観光客:ずっと日本に来たいと思っていてようやく来られて本当にうれしい

日本滞在を楽しむ一方で、やはり悩みは…

スペインからの観光客:英語に比べ知られていないとわかっているけど、スペイン語が 通じたら助かる

そこでー

栗原:こちらのタクシーなんですが、車内にAIが搭載された通訳機を試験的に活用しています

現在はスマートフォンの地図などで目的地を伝えることもできると思うのですが、たとえば、こんなケースが。

運転手 曽我義忠さん:行き先は中目黒、桜の名所目黒川だとわかっていたので向かっていたんですが、大きい通りを挟んで反対側に止めるしかない状況でしたので桜並木まで、車では行けません。

客の言語はポルトガル語だったため、お互い片言の英語でも難しかったといいます。そこで…。

曽我さん(通訳機に):大きい道路を反対側に渡っていただいて、そのまままっすぐ進むと目的地です

ポルトガル語で案内ができました。こうした通訳機には、クラウド上のAIが使われています。

中でも、音声認識や翻訳のAIは日々進化していて、雑音の多い場所でも人間の声だけを聞き分けられたり、固有名詞や造語などにも対応できたりするようになったといいます。

対応言語の数も73と去年から3つ増え、今後も増える予定です。

曽我さん:外国からの観光客の皆さんも、本当は細かいところまで知りたいんだと思います。ほんのちょっとの心配り、気遣い、そういうものが表現できればなと思っています。

エコノミストの試算によると、日本のことしのインバウンド需要は5兆円近く。コロナ前の水準にまで回復する見込みです。

成長を続けるAIの能力は、日本の「おもてなし」の味方になると、通訳機の開発企業も期待しています。

「日常生活の中でいろんなシーンで今後AIが活用されていくのではと思っているが、中でも言語は重要なシーンになっていくのではと思っている」

AIによってタクシーでの体験が向上することで、安心安全丁寧のような日本のブランディングにもつながるのではと感じました。

(動画は3分2秒あります)

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