【解説】米がロシアにスター選手らと「武器商人との交換」提案 (油井'sVIEW)

NHK
2022年7月29日 午後8:42 公開

アメリカ国内でスター選手の解放を求める声が高まったのを受けてバイデン政権がロシアとの対話に乗り出します。

スター選手の拘束について詳しく:【解説】ロシア 米ブリトニー・グライナー選手 "拘束は不当"

アメリカ国内で服役中のロシア人を釈放するのと交換に、グライナー選手ら2人の解放を勝ち取りたい考えで、すでにロシア政府に「囚人の交換」を提案したということです。

アメリカの各メディアによりますと、アメリカ政府が釈放を検討しているロシア人は、ロシアの元大物武器商人ビクトル・ボウト受刑者です。

かつて「死の商人」と呼ばれ、1990年代からアフリカや南米など世界の紛争地域で大量の武器を売りさばいた人物で、2008年にタイで拘束され、その後、アメリカに身柄を引き渡され、禁錮25年の判決を受けました。

彼をモデルにした映画も作られ、俳優のニコラス・ケイジさんがボウト受刑者を演じて武器商人の実態が注目されました。

ボウト受刑者は、もともと旧ソビエトの諜報機関の元工作員とも言われていて、そのためかロシア政府はボウト容疑者の帰国に関心を示しているとも言われてきました。

ただロシア側が今回のアメリカの提案を受け入れるかどうかは不明です。

軍事侵攻後初の米ロ外相会談では何が話されるのか

アメリカのブリンケン国務長官は、ロシアのラブロフ外相と近く電話会談を行うとしています。

もし外相の会談が実現すれば、ことし2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって以降初めてとなります。

ブリンケン国務長官は会見で「ラブロフ外相との電話会談は、ウクライナに関する交渉ではない。ウクライナに関するいかなる交渉もウクライナの政府と人々が決めるものだ」と述べ、ウクライナの頭越しに米ロでウクライナの将来を決めることはないとしています。

しかし同時に、「ゼレンスキー氏は「戦争は外交で終結する」と明らかにした。我々も同意する。アメリカは外交努力を支援する用意がある」とも発言しているのです。

ロシア政府は、この夏、東部や南部の支配地域でロシア化を進め、9月にも住民投票を実施してロシアへの編入を進めたい狙いと見られています。

ロシア化と併合について詳しく:【解説】Xデーは9.11? ロシアが併合に向け住民投票か

これに対してウクライナ政府は、この夏に反撃を本格化させ領土を奪還したい構えです。

ただ、その鍵を握るのは、ウクライナの命綱とも言える軍事支援を続けているアメリカで、バイデン政権が米ロ外相会談を機に軍事から外交へと軸足を移す転換点となるのかどうかが注目です。


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は3分03秒あります)

ウクライナ情勢の最新情報については地上波での再放送から1週間、NHKプラスでご覧いただけます。