ロシアによる脅威を受けNATOが拡大する見通しの一方、ロシアは「新しい世界秩序の中心」と呼び重視しているBRICS=ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ、5か国の枠組みを拡大する可能性をアピールしています。
ロシア政府は、このBRICSにイランとアルゼンチンが加盟を申請したと明らかにしたのです。
その上で、BRICSの中軸でもある中国の外務省報道官は、インターネットのSNSでG7の人口に対してBRICSの人口が圧倒的に多いことを指摘して、G7が国際社会のリーダーではないと強調しました。
そのロシア寄りの姿勢を崩していない中国に対し、アメリカのバイデン政権はけん制する措置に踏み切りました。
ロシアによる軍事侵攻後に、電子製品を扱う企業など中国企業5社がロシア軍と契約を結んだとして制裁リストに加えたのです。
アメリカのエステベズ商務次官は声明で「ロシアを支援すればアメリカは関係を断ち切るという強いメッセージだ」と述べ、中国・ロシアの連携にくぎを刺しています。
ロシアと中国はBRICSの拡大をめぐり、欧米に対抗するグループになるとして拡大に前向きですが、一方でインドは慎重な姿勢とも伝えられ、今後の焦点の1つになりそうです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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