バイデン政権はアフリカサミットの成果を早速、アピールしています。
その1つが、鉱物資源「コバルト」をめぐる合意です。
コンゴ民主共和国とザンビアの間で電気自動車の電池に使われる「コバルト」の生産に協力する文書に調印したのです。
アメリカのブリンケン国務長官は「コンゴ民主共和国は世界のコバルトの70%以上を生産。ザンビアはアフリカで2番目のコバルト生産国で6番目の銅生産国だ。重要な鉱物に対する世界の需要は今後数十年間、急増する」と述べました。
脱炭素を目指すバイデン政権は電気自動車の開発と普及を推進しています。
その電気自動車の中核となる電池に欠かせないのが「コバルト」なのです。
「コバルト」はスマートフォンやコンピューターの製造にも欠かせないと言われ、バイデン政権は、戦略資源と位置づけて、安定的な調達を目指して今回の合意に至ったわけです。
アメリカ“最大の強豪国”中国をけん制する狙いも
実はコンゴ民主共和国でのコバルト生産は、中国企業が圧倒的な存在感を示してきました。
アフリカサミットを前に行われたアメリカ議会の公聴会でも、スミス下院議員が「コバルトはコンゴ民主共和国に集中している。コバルトのほとんどは中国で加工され、中国が独占状態を作り出すことに成功している」と発言し、この点が問題視されていました。
バイデン政権は中国の独占状態を切り崩すため、8月にブリンケン国務長官がコンゴ民主共和国を訪れるなど働きかけを進めてきたのです。
日本も切り崩しに参戦
西村経済産業大臣は、先週、コンゴ民主共和国のンサンバ鉱山相と会談し、コバルトの安定調達に向けて協力する共同声明を発表したのです。
中国に依存しないサプライチェーンの構築を目指す日本やアメリカ。
資源獲得競争がアフリカで活発化しています。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分34秒あります)
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