最新の世界経済の動きをお伝えする「マンデービズ」。
毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです。
(「国際報道2023」で6月5日に放送した内容です)
【アメリカ】利上げ停止?
今月、予定されているFRB=連邦準備制度理事会の会合で、去年3月から続けてきた利上げがどうなるか、専門家の間でも意見が分かれています。
「私たちはFRBがさらに利上げするとは考えていません。次回の会合で利上げを止め、 上昇した金利を少なくともことしの終わりまで維持するでしょう」
「労働者に対する需要が強く、供給が追いついていません。 経済にブレーキをかけるためにまだやるべきことがあるかもしれません」
【中国】9日 物価統計発表 中国がデフレに!?
中国で今、「デフレ」懸念が浮上しています。
家庭で消費するモノやサービスの値動きを示す消費者物価指数。4月は去年の同じ月と比べて0点1%のプラスという低水準で、今後、マイナスに落ち込むという見方も出ています。
国際的な原油価格などの低下が主な要因とされていますが、景気回復が鈍い中で、人々の節約志向が強く、消費に勢いがないことも背景にあると指摘されています。
金融機関や専門家が「デフレ懸念」を強める中で、中国政府は「デフレではない」と否定。
消費者物価指数の最新の発表は今週9日です。
【シンガポール】住宅市場が過熱!?
住宅市場の過熱が警戒されています。
シンガポール中心部では、中国人など外国人が購入した高級物件の数が、ことし1月から3月まで159件と、3か月単位では、この9年あまりで最多に。
その一方、コロナ禍で新たな不動産プロジェクトの開発が遅れたことなどで需要に供給が追いつかず、不動産価格と家賃の急上昇を招いたというわけなのです。
こうした状況に、政府は4月下旬以降、外国人が住宅を購入する際の価格に課税される印紙税の税率を30%から60%に一気に引き上げ、不動産市場を冷やそうとしています。
【ドイツ】渇水時の水運を守れ 新型の輸送船
去年、記録的な干ばつに見舞われたヨーロッパ。影響が水運にもおよぶ中、ドイツでは、新たな対策に乗り出しています。
ドイツなどを流れるヨーロッパの物流の大動脈、ライン川。去年、水不足で水位が低下し、船による輸送が大きく制限されました。
水不足は以前から、水運に関わる企業にとって悩みの種で、物流を守るための取り組みが進んでいます。
先月下旬、ドイツで公開された船。
ライン川を利用する世界的な化学メーカーが、ノルウェーの海運会社と開発しました。
目標は水深1メートル60センチという水が極めて少ない状態でも800トンもの大量の積み荷を運ぶこと。そのために、船体の徹底的な軽量化を図りました。
乗組員の一部の部屋は従来の半分近い広さに。
そして、大量の荷物を載せても沈まないよう、船体に空気を入れて浮力をつける「バラストタンク」を4倍以上の大きさにするなど、工夫をこらし3年がかりで完成させました。
建造コストは従来の船の倍だということです。
「この船は非常に独創的なものです。こうした船は今後さらに増えるでしょう」
水運というサプライチェーンを守るための取り組みが、ヨーロッパで広がりそうです。
(この動画は5分04秒あります)