国際社会で孤立を深めるロシアが、逆に欧米の対応に批判を強めているのが南太平洋・ソロモン諸島を巡る動きです。
ソロモン諸島は中国との関係を深めており、先月、安全保障に関する協定を締結しました。
これに対しオーストラリアやアメリカなどが相次いで懸念を表明しています。
この動きについてロシアは「ロシアの国境近くまでNATOが拡大し軍備増強していることに対するロシアの懸念を、オーストラリアは常に否定してきた。しかしオーストラリアは1500キロも離れた島しょ国と中国の関係を非難していて、ダブルスタンダードだ」と声明を発表したのです。
またフィナンシャル・タイムズ紙は中国がソロモン諸島と同様の安保協定をキリバスなどほかの島しょ国とも締結すべく協議していると報じました。
キリバスは太平洋戦争中に使用された滑走路を中国が再建する計画も伝えられています。
ロシアとしては、中国との連携姿勢を示すことで良好な関係を維持すると共に、この地域での中国の行動に神経をとがらせるアメリカやオーストラリア、日本までも揺さぶるねらいがありそうです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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