Monday Biz
毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです
(「国際報道2023」で3月13日に放送した内容です)
【アメリカ】シリコンバレーバンク経営破綻 連鎖に懸念
アメリカ「シリコンバレーバンク」の経営破綻について、その背景をみていきます。
指摘されているのが、去年3月から、FRB(=連邦準備制度理事会)がインフレを抑え込むため続けている「利上げ」です。この銀行は、それまでの大規模な金融緩和を背景に預金を増やしていました。
こうした預金の多くは国債などの債券で運用されていました。
ただ債券の価格というのは、金利が上がれば下落する関係にあるため、去年から債券の価格は、下落傾向となっています。
その結果、シリコンバレーバンクは財務が悪化、厳しい経営環境に陥ったと見られています。
ニューヨークに拠点を置く「シグネチャーバンク」も破綻したことから、金融業界にさらなる影響を与えないか懸念が広がっています。
【タイ】 中国人観光客増加 景気回復なるか?
コロナ禍前のタイでは、外国人旅行者全体の3割近くを中国人が占めていました。
それが一時、激減していたのですが、先月(2月)、中国人の国外への団体旅行が一部解禁され、再び増え始めています。
3月5日までの1週間にタイを訪れた53万人余りの外国人旅行者のうち、中国からはマレーシアに次いで2番目の多さでした。今後も旅行者数は回復すると予想されています。
一方、気になるのが新型コロナの状況ですが、3月4日までの1週間の感染者は、タイ全土で147人と発表され感染は拡大していないとみられています。
中国人旅行者の増加でタイ経済が持ち直しを続けるのか注目です。
【ヨーロッパ】2035年“エンジン車新車販売禁止”に待った!?
このエンジン車の新車販売禁止は、今月中にもEU加盟国の承認を得て、ルールとして成立するとみられていましたが、急に壁にぶつかったそうです。
脱炭素社会の実現に向けて取り組みを進めているEUに何があったのでしょうか。
ブリュッセル支局の竹田記者からのリポートです。
エンジン車の新車発売禁止に、立ちはだかったのは、EU最大の自動車大国、ドイツです。
ドイツは、「脱炭素」に逆らわない形で、2035年以降もエンジン車の存続に道を残すべきだ、という立場なのです。
カギとなるのが、ガソリンなどの代わりとなる液体の「合成燃料」です。
二酸化炭素と水素を合成してつくります。
原料となる二酸化炭素は大気から回収し、水素は、再生可能エネルギーを使って作ります。つまり、作る過程で二酸化炭素は発生せず、燃料を燃やして出る二酸化炭素ももともと大気中にあったものなので、増えないという考え方です。
これを推進する、エネルギー会社や自動車業界などでつくる団体は、「化石燃料に代わる、持続可能な燃料」だとしています。
先月、行われたEUのエネルギー・運輸相会議でも、ドイツ政府の代表は次のように主張しています。
ドイツ政府 代表
「電気自動車が目指すべき道だがより多くのアプローチが必要だ。EUは合成燃料を今後どう活用するべきか提案すべきだ」
ドイツの立場にチェコが賛同。さらにイタリアとポーランドも加わり、この4か国はまもなく会合を開いて今後の対応などを話し合うことにしています。事態はどう展開するのか、見えない状況です。
(この動画は5分42秒あります)