「プーチン大統領は追い込まれている」
アメリカ政府内きってのロシア通と言われるCIAのバーンズ長官の分析です。
バーンズ長官はアメリカのCBSテレビのインタビューで「プーチン大統領は懸念を抱いている。ウクライナの戦況だけでなく国内の状況そして国際的な状況もだ。プーチン大統領は戦争の直前に中国の習近平国家主席と無制限の友好を宣言したが、結局、制限があることがわかった」と発言し、プーチン大統領が中国から期待していた軍事支援が得られないことなどから「追い込まれ危険で無茶する可能性」を指摘しました。
さらに懸念されている、プーチン大統領による核の脅しについて、バーンズ長官ははったりなのかどうか「判断するのは難しい」と述べたのです。
その核をめぐっては、イギリスの新聞「タイムズ」が「プーチン大統領がウクライナとの国境付近で核実験を計画し、NATOが加盟国に警告した可能性がある」と伝え、「核兵器を管理するロシアの秘密部隊の列車がウクライナに向かったという見方がある」とも報じています。
さらにイタリアの新聞「レプブリカ」は「核弾頭搭載可能な魚雷ポセイドンを積んだロシアの最新の原子力潜水艦が北極海に展開し、発射実験を行う可能性がある」と報じました。
このヨーロッパで相次いだロシアの核をめぐる報道については、今のところ確認は取れていません。
一方、アメリカなどからは慎重な発言が相次いでいます。
ホワイトハウス ジャンピエール報道官
「我々が核態勢を変える理由は見当たらずロシアが核兵器の使用を準備しているという兆候もない」
アメリカ国防総省 クーパー次官補代理
「核兵器使用の脅威を真剣に受け止めなければならない。我々は動向を注視し同盟国とも緊密に協議している。しかし現時点でまだそれはレトリックに過ぎない」
核をちらつかせることで欧米の軍事支援に歯止めをかけ、みずからに有利な状況を作り出したいプーチン大統領の行為は決して許されませんが、核をめぐる心理戦・情報戦は当面、続きそうです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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