2014年に起きたクリミア併合を受けて旧ソビエト圏の国々で作られた「ブカレスト9」は、今やロシアの脅威に備える枠組みとなっています。
そのブカレスト9は先週、首脳会議を開催し、防衛力を強化していくことで一致しました。
実はロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、チェコを除く8か国には、アメリカ、カナダ、イギリスなどのNATO部隊が駐留しています。
万が一の事態に備えて、これを拡大する案が出ているのです。
ポーランドのドゥダ大統領は人数の拡大や部隊の常駐化を検討していると明らかにしています。
さらに今後、進むとみられているのが兵器の更新、つまり兵器のNATO化です。
東ヨーロッパの国々は旧ソビエト時代の兵器を保有していましたが、今回これらをウクライナに大量におくったこともあり、最新兵器に入れ替える動きが出ているのです。
ブカレスト9の1つリトアニアは、今週、フランスから最新のりゅう弾砲「カエサル」を18両購入する方針を発表しました。
そのフランスでは、各国の兵器を一堂に集めた「ユーロサトリ」という展示会が開かれており、マクロン大統領は「"戦争経済"に踏み入る」と防衛産業の振興に力を入れていく姿勢を示しています。
NATOとしては東西のヨーロッパを結束させ、欧米の防衛産業を強化したいねらいです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
(この動画は2分36秒あります)