相次ぐスキャンダルを受けて辞任することを明らかにしたジョンソン首相ですが、実はウクライナで極めて人気の高い外国の首脳だということをご存知でしょうか。
先月発表された、ウクライナの人たちにどの首脳が好きか聞いた世論調査では、トップがゼレンスキー大統領で、2位がジョンソン首相だったのです。
外国の首脳の間ではトップで、フランスやドイツの首脳に比べると好感度は2倍以上高い結果となりました。
背景には、欧米の中でも積極的にウクライナ支援を打ち出してきたジョンソン首相の姿勢が反映されていると見られています。
というのも国別のウクライナ支援を比較してみると、金額で見てもイギリスはアメリカに次いで第2位の支援国です。
しかも兵器の供与ではアメリカよりも早く最新の兵器を供与する姿勢をたびたび示しました。
さらに先月始まったのは、イギリス国内でイギリス軍がウクライナ兵に最新の兵器の使い方を教える訓練です。
ジョンソン首相は先月、最大1万人のウクライナ兵を120日ごとに訓練する計画を打ち出すなどウクライナ兵の育成にも積極的だったのです。
G7の首脳としても最も早く4月にキーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と市内を視察した上に、6月にもキーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談しました。
ロシアに対して強硬に臨む共通の姿勢が2人を結んだと言えます。
フランスやドイツの首脳が外交的な解決を優先させる姿勢を示し、時折、ゼレンスキー大統領とギクシャクする場面を見せるのとは対照的な関係だったと言えます。
ゼレンスキー大統領にとっては今回、ヨーロッパでの最大の理解者を失ったと言え、後継政権のウクライナ政策の行方を注視することになりそうです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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