アメリカのIT大手マイクロソフトは軍事侵攻に伴いロシアがサイバー空間で行っている活動をまとめた報告書を発表しました。
主に3つの活動を紹介しています。
- ウクライナ国内 軍事・サイバーの連携攻撃
- ウクライナ国外 サイバースパイ活動
- サイバー宣伝と偽情報発信
まずウクライナ国内の攻撃の特徴は、ロシアがサイバーと軍事で連携して同じ標的を攻撃していることです。
例えばザポリージャ州では3月、ヨーロッパ最大の原子力発電所がロシア軍から襲撃を受けましたが、襲撃の1日前にこの会社のコンピューターがサイバー攻撃を受けたというのです。
報告書はこうした連携した作戦が目立つと警告しています。
ウクライナ国外に関しては、ロシアは42か国、128の標的に対してサイバー攻撃を仕掛けたと説明されています。
この中には日本も含まれており、ロシアは主にウクライナを支援する国々の政府機関を狙いコンピューターに不正に侵入し、機密情報など盗み取ろうとしたとしています。
128の標的に対して不正侵入の成功率は29%で、そのうち4分の1で実際に情報が抜き取られたと分析しています。
一方で報告書の中では、サイバー空間で活動するロシアに対抗するためアメリカも深く関わっている実態も言及されています。
ウクライナ政府は重要なデジタル情報を軍事侵攻の直前に、マイクロソフトの支援によって国内のデータセンターから国外の安全なクラウドに成功したというのです。
データセンターは攻撃を受けたものの、情報は守れたとしています。
またアメリカとしては、テスラCEOのイーロン・マスク氏が衛星通信サービスを提供しているほか、アメリカ政府もサイバー軍を投入し支援に乗り出していて、官民あげてウクライナのサイバー空間を支えています。
(この動画は2分38秒あります)
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。