【解説】問われる米の対ロシア包囲網 中南米左傾化が影響か (油井'sVIEW)

NHK
2022年6月9日 午後4:37 公開

アメリカのバイデン大統領は、ロシアによる軍事侵攻を受けて「対ロシア包囲網」を築こうとしています。

指導力が問われているのが特に中南米外交

日本時間9日、ロサンゼルスで南北アメリカの首脳たちが一堂に会する米州首脳会議がバイデン大統領をホストとして開かれ、結束のアピールをしたいのではないかと言われています。

しかしバイデン政権は、今回の会議に「民主主義が欠如している」と、キューバ、ニカラグア、ベネズエラの3カ国の大統領を招待しなかったため、「全ての国が招かれないのはあり得ない」と、メキシコ、ボリビア、ホンジュラスの各大統領が反発して欠席を表明。

ほかにも欠席する大統領がいると見られており、結束とはかけ離れた状況です。

相次ぐ左派政権の誕生で進むアメリカ離れ

中南米に相次いで誕生した左派政権は共産主義ほど"赤くはない"ということから、”ピンクの潮流”とも言われています。

選挙が年内にあるコロンビアやブラジルも「ピンクに染まるのではないか」という指摘があります。

中南米の国々は対ロシア政策でもアメリカとは一線を画しており、ほとんどの国が制裁までは科していないのが現状です。

バイデン政権は、欧米やG7の結束には成果をあげているといえますが、それ以上、対ロシア包囲網を広げることは成功しているとはいえず、ロシアにどう圧力をかけていくのか、大きな課題となっています。


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分50秒あります)

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