【解説】ロシア軍 ウクライナのインフラ狙いサイバー攻撃も?(油井'sVIEW)

NHK
2022年12月7日 午後6:37 公開

ロシア軍は、ウクライナ国民のインフラを狙ってミサイル攻撃を続けていますが、同時にインフラを狙ったサイバー攻撃も仕掛けているという分析を発表したのが、アメリカのIT大手マイクロソフトです。

分析の中でマイクロソフトは「ロシアの情報機関と関係のあるハッカー組織が最近、ウクライナのエネルギーや水道など重要なインフラを狙ってサイバー攻撃を仕掛けてきた」と指摘。

その上でミサイル攻撃と連携する形で同じインフラを狙っている可能性が高いという見方を明らかにしました。

また10月にはウクライナとその隣国ポーランドの輸送インフラを狙ったサイバー攻撃が確認されたとしており、欧米によるウクライナへの兵器供与をロシアが阻止するため、今後はウクライナ国外の輸送インフラを狙ってサイバー攻撃を増やす懸念もあるとしています。

欧米が警戒強めるサイバー情報戦 ロシアによるプロパガンダや偽情報の発信

マイクロソフトの今回の分析では「この冬にエネルギー不足やインフレが悪化する事態をロシアが利用してヨーロッパの人々の不満をあおる情報工作を仕掛ける可能性が高い」と指摘しています。

その1例として「ヨーロッパに避難するウクライナの人たちが増えれば難民受け入れの是非をめぐってヨーロッパ内の対立をあおる情報発信を行う」などと分析。

またヨーロッパの中でも中核的な国でロシアからの移民も多いドイツを狙って、ロシアが情報戦を仕掛ける可能性が高いと警告しています。

冬にあわせてサイバー空間での戦いは激しさを増しそうで、EUは新たにサイバー攻撃に備えるウクライナ兵の訓練施設を開設したとも発表していて、警戒を強めているようです。


油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)

前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。


(この動画は2分15秒あります)

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