ヨーロッパのシンクタンク、欧州外交評議会が15日に報告書を発表しました。
報告書は、先月中旬に行った10か国8000人の世論調査を基にしたものです。
"ウクライナの戦争をどう終わらせるか"をめぐって、できるだけ早期に戦闘を停止し交渉を始めるべきで、戦争終了のためにはウクライナ側が多少の譲歩をするのもやむを得ないとする「和平派」。
ロシアに侵略の代償を払わせ、ウクライナは国土を取り戻すべきで、戦闘の長期化や負傷者の増加もやむを得ないとする「正義派」。
この2つに分かれていると指摘しているのです。
「和平派」35%、「正義派」22%、でどちらとも言えないが20%、そのほかが23%となっています。
国別では、イタリアやドイツ、ルーマニア、フランスは「和平派」が圧倒的に多く、ポーランドでは「正義派」が多くなっています。
世論調査の対象ではありませんが、バルト3国もポーランドと同様「正義派」が多いとみられ、報告書はヨーロッパの分断が顕著になりつつあると警告しているのです。
また今回の世論調査では、戦争の結果ヨーロッパの状況が良くなると答えた人たちは少なく、悪くなると答えた人が半数を超えています。
こうしたことから、ヨーロッパでは戦闘の長期化に反対する人が増えていくとみられ、ウクライナを支える民主主義の国々は時間とともに結束が揺らぎかねない状況です。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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