最新の世界経済の動きをお伝えする「マンデービズ」。
毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです。
(「国際報道2023」で5月1日に放送した内容です)
【アメリカ】金融政策を決める会合
アメリカの中央銀行にあたるFRBが、2日から金融政策を決める会合を開きます。
FRBは、記録的なインフレを抑え込むため、去年3月以降、9回連続で利上げを実施。
インフレはだいぶ落ち着きを見せているものの、まだ目標よりは高い状況で、市場では今回も0点25%の利上げを決めるとの見方が大勢です。
ただ、銀行の破綻が相次いでいて、景気後退の懸念や金融不安もくすぶり続けています。
パウエル議長が、会合後の記者会見で、“次回6月の会合での利上げの停止”を示唆するか、注目です。
【EU】「国境炭素税」導入へ
EUが、2026年から世界初の「国境炭素税」を導入します。日本企業も対応を迫られることになりそうです。
国境炭素税は、環境規制のゆるい国からの輸入品に事実上の関税を課すというものです。
CO2削減のために厳しい規制を課せられているEUの企業が、規制のゆるい外国の企業との競争が不利にならないようにするのが目的の1つです。
また、企業が規制のゆるい外国に生産拠点を移すのを防ぐねらいもあります。
ことし10月から移行期間が始まり、EUへ輸出する企業は製品をつくる際のCO2排出量の報告が義務づけられます。
当面の対象品目は鉄鋼や電力などで、今後さらに拡大される方針です。
【オーストラリア・ニュージーランド】そばが注目!なぜ!?
いま「そば」が注目を集めています。それはなぜなのでしょうか。
オーストラリアで行われた「そば」の試食会。そば粉を使ったさまざまな料理が並びます。
日本食人気が根強いなか、近年の健康志向もあいまって、そばへの関心が高まっているのです。そうした中、生産にも力を入れ始めています。
青木記者:一面に咲く白い花は、そばの花です。ここニュージーランドでは、そばを日本に輸出しようという動きが始まっています。
こちらは2021年の国別のそばの生産量です。
ロシアによるウクライナ侵攻後、ロシアとウクライナからの供給は停滞。アメリカ産も天候不良で、収穫量が減少するなど、世界的に価格が高騰しています。
ニュージーランドで農業を営むニック・ウォルターズさん。これまで小麦を主に生産してきましたが、世界的なそばの価格高騰を受け、そばの生産量を増やし、ことし初めて、日本への輸出に乗り出します。
そばの消費量が多い上に、「ニュージーランド産の農作物は品質が高い」というイメージが定着していることから、ビジネスチャンスがあると考えました。
「今まで経験のない新たな挑戦ですが、日本の市場と良い関係を築くことができればと思っています」
栗原キャスター:南半球のニュージーランドは日本と季節が逆ですから、「新そば」をこれまでとは違う時期に食べられるのも魅力ですね。
【中国】デジタル人民元で給与
デジタル通貨の発行に向け、いち早く実証実験が進んでいる中国で、給与を「デジタル人民元」でという動きが出始めています。
中国メディアによりますと、今月から江蘇省の常熟(じょうじゅく)では、公務員や国有企業の社員の給与がデジタル人民元で支払われます。
こうしたケースは、すでに他の省でも行われているとのことで、「実質的に実用化している」とも指摘されるほど、利用が広がっています。
去年の12月末の時点で136億人民元、日本円で2兆6000億円規模のデジタル人民元が流通しているそうです。
(この動画は4分40秒あります)