最新の世界経済の動きをお伝えする「マンデービズ」。
毎週月曜日に各国で取材にあたる特派員がピックアップ。マーケットが注目する今週の世界の重要イベントを深読みするコーナーです。
(「国際報道2023」で5月22日に放送した内容です)
【中国】人民元安進む 景気先行きに不安視
外国為替市場で人民元が売られています。
こちら、人民元のレート推移ですが、先週、およそ5か月ぶりの「元安」水準となる、1ドル=7人民元台をつけたんです。
要因としてはアメリカで金融引き締めが長期化するのではとの見方に加え、中国の景気の先行きへの不安があると考えられます。
回復に転じたとはいえ、最近発表された統計は力強さを欠く中国経済。中央銀行が実質的な政策金利を引き下げるとの見方もありますが、そうなれば、さらなる元安にもつながりかねません。
【ベトナム】景気急減速 起死回生の策は
世界の製造業を支えるベトナムの景気に変調が。
ことし1月から3月までのGDP=国内総生産の伸び率、前年同期比でプラス3.3%となり、大幅に減速しました。※速報値発表時点
理由は、欧米が利上げを続ける中で輸出が減少し、携帯電話などの生産が落ち込んでいるためです。
そこで検討されているのが…。
「減税」です。 日本の消費税にあたる付加価値税の税率を一時的に10%から8%に引き下げる策。国内の消費を刺激し景気を下支えする狙いです。
【アメリカ】銀行破綻で教職員組合の年金が…
シリコンバレーバンクの破綻による影響が高齢者の年金にまでおよんでいます。
オハイオ州に住むロビン・レイフィールドさん。退職した教員の年金の運用をチェックする団体で事務局長を務めています。
2023年3月、運用を任せていた団体が、シリコンバレーバンクの株式を大量に保有していたことが分かりました。
保有額は2700万ドル、日本円でおよそ37億円に上り、破綻によってその価値は一瞬にしてゼロになりました。
一気に不安が広がったレイフィールドさん。先週木曜日、運用団体が開いた説明会に参加しました。団体側は、シリコンバレーバンクで失った資金は、全資産の1%以下で、年金は守られていると強調しましたがー。
FRBの急速な利上げによる含み損など、全容が把握できず、レイフィールドさんは不安が尽きないと言います。
レイフィールドさん:年金は生命線だ。ほんの十年前は収益を確保できていたのに。この金融不況がどんな結末を迎えるか心配している。いまは膨大なリスクを負わなければならない。
全米の年金監視団体によれば、 シリコンバレーバンクには、20以上の年金基金が投資していたといいます。金融不安再燃への警戒が続きます。
【ヨーロッパ】“500年に一度の干ばつ”ことしは?
2022年、500年に一度という干ばつに見舞われたヨーロッパ。さて、ことしの夏は…。
こちら、スペインの貯水池なんですがー。完全に干上がっています。
こちらの貯水池。本来は、水没した教会の鐘のあたりまで水がありましたがー。
同じ場所で2023年4月に撮影された写真です。水没した建物があらわに。地面がむき出しになり、干ばつの激しさを物語っています。
スペインでは2022年の秋から記録的な少雨が続き、全国の貯水池の水量は平均48.9%と過去10年の平均と比べて20ポイントほど少なくなっています。
農作物のおよそ8割がダメージを受けるという見方もあって、価格の値上がりが懸念されています。フランスやイタリアも雨不足で経済への打撃が広がりそうです。
(この動画は4分55秒あります)