ロシアは軍事演習を実施するなどし、みずからの軍事力を誇示していますが、そのロシアが実は「兵器不足」に陥っており、北朝鮮から兵器を調達しているというニュースが入ってきました。
アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズなどは、アメリカの情報機関の話として「ロシアが北朝鮮の砲弾を購入」と報じたのです。
報道によりますと、ロシア国防省はウクライナでの戦闘のために必要なロケット弾や砲弾を数百万発、北朝鮮から購入しているということです。
アメリカの情報機関の当局者は「欧米による制裁措置でロシア軍が自国で兵器を生産するのが難しくなっていることが原因だ」としており、「ロシアが将来的に北朝鮮からさらに兵器を調達する可能性もある」と指摘しているのです。
半導体などの輸出・販売禁止が兵器調達せざるを得ない背景か
ロシアはイランから無人機を数百機調達する計画で、その受け取りが始まったと先週、アメリカから指摘されたばかりです。
【解説】いよいよイランがロシアに無人航空機供与か(油井'sVIEW)
もし今回の報道が事実であれば、ロシアはイランだけでなく北朝鮮からも兵器を調達せざるを得ない状況だということになります。
これまでも欧米や日本がロシアに対して半導体などの輸出・販売を禁止したことで、ロシア軍が打撃を受けていると言われてきました。
ロシア軍の戦車を生産する2つの拠点が操業停止に追い込まれたほか、アメリカの商務長官は戦場で回収されたロシア軍の兵器から軍事用の半導体ではなく皿洗い機や冷蔵庫から取り出された半導体が代わりに搭載されていたと5月に証言し、大きなニュースとなりました。
兵力に加えて兵器の不足も指摘されているロシア軍ですが、イランや北朝鮮がどこまで支援するのか、またより高度な技術を持つ中国が支援に乗り出すのかどうかがロシアの軍事侵攻の行方を左右する鍵となりそうです。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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