アメリカのブリンケン国務長官と中国の王毅外相はインドネシアで9日会談し、両国の競争が衝突に発展しないよう対話を続けることで一致しました。
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアをめぐっては、ブリンケン長官は「中国がロシアと連携していることに懸念を伝えた。中国はロシアの側に立ち、そのプロパガンダを増幅させている」と述べ、ロシアを支援しないよう求めたことを明らかにしています。
実はバイデン政権は先日、中国企業5社がロシアの軍事侵攻を支援している恐れがあるとして制裁の対象に加えていますが、中国側は「中国とロシアは正常な経済活動を行っており、第三者に干渉や制限される必要はない」と反発しています。
さらにアメリカにとって中国が安全保障上の最大の課題であるという立場に変化がないことを示すできごともありました。
欧米の産業界・学術界に対して中国への警戒強化を求めるとともに、中国に対抗するためには官民が一体となって協力する必要性を訴える異例の声明を、アメリカのFBIとイギリスMI5のトップが共同で発表したのです。
FBIのレイ長官は「中国政府は産業がなんであれ技術を盗み、ビジネスを弱体化して市場を支配する」と、MI5のマッカラム長官は「中国共産党は民主的なメディアや法のシステムを自分たちの利益のために利用しようとしている」と述べたのです。
こした欧米の動きを見据えるかのようにロシアは、中国との連携強化を図っており、欧米対中ロという分断の構図が一段と鮮明になっています。
油井秀樹(「国際報道2022」キャスター)
前ワシントン支局長。北京・イスラマバードなどに14年駐在しイラク戦争では米軍の従軍記者として戦地を取材した経験も。各国の思惑や背景にも精通。
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